神戸大学 海事科学部 マリンエンジニアリング学科 准教授 山本 茂広 先生

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画像計測技術で船舶航行の安全を守る
船舶にはレーダーをはじめとした航海計器が搭載されていますが、それらも完璧というわけではなく、最終的には人間の目視による見張りで安全な航行を保っています。これを自動化するためのカメラによる画像認識・計測技術の事例を紹介します。
先生からのメッセージ
高校生にとっては、希望する大学・学部を見つけて、その入試に合格することが大きな目標でしょう。その過程では、受験に向けた勉強が求められます。ただ、授業や普段の生活の中で、自分が疑問を持ったり、不思議に思うことに出会ったとき、「なぜだろう?」と思う気持ちをそのままにせず、自分で考えてみたり、とことん調べてみたりすることも大切です。
好奇心を失わずに、さまざまなことに向き合う姿勢が、大学以降の学びや、研究活動を行う上での基本になるからです。
先生がめざすSDGs
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AIの画像認識を使って海上の安全を守る船の自動運転技術
船同士の衝突や座礁を防ぐ
AI(人工知能)を活用した自動車の自動運転は、世界中で研究・開発が進められています。同様に海上を航行する船の自動運転技術も開発が進められています。カメラを使って景色や風景を認識しながら船を誘導し、ほかの船や障害物との衝突を自動で防止するといった、船舶の安全航行を目的としています。
現状でも船にはレーダーやGPS、ジャイロコンパスといった航海計器によって、ある程度の自動航行は実現されています。ただし本当に見落としや見誤りがないかといった最終的な見張りは、人間の目視によって行われています。それでも見落としなどの人為的ミスもあるため、時折、船同士の衝突や座礁といった事故が起こります。
距離と位置を正確に把握する技術
人間に代わって周囲の風景を認識するためには、AIによる画像認識技術が使われます。画像に映る船や橋脚、航路標識などを学習させることで、周囲の風景を正確に認識させるのです。また、船は急に止まったり方向転換したりすることができないため、自動車の10倍以上遠方にある障害物をいち早くとらえることが求められます。その際に用いられるのがステレオ計測です。人間の目の仕組みのように、2台以上のカメラを設置し、それぞれの視線が交わるポイントによって距離を計測します。視線の角度にズレがあると、距離計測に大きな誤差が生じるので、何度も計測した結果から適切なデータを選ぶフィルタリングという手法で精度を向上させます。
インフラとしての役割にも期待
船の自動運転は、外国航路の貨物船など大型で長距離を航行する船舶から導入が進められると考えられています。しかし将来的には、多くの船が行き来する港湾や、海峡といった込み入った場所での活用が期待されます。こうした場所では船舶の上からだけでなく、陸上にカメラを設置して自動認識を行う研究も進められています。特定の船だけでなく、港全体の交通インフラとして導入されれば、多くの船の安全性を向上させることができるでしょう。
先生からのメッセージ
高校生にとっては、希望する大学・学部を見つけて、その入試に合格することが大きな目標でしょう。その過程では、受験に向けた勉強が求められます。ただ、授業や普段の生活の中で、自分が疑問を持ったり、不思議に思うことに出会ったとき、「なぜだろう?」と思う気持ちをそのままにせず、自分で考えてみたり、とことん調べてみたりすることも大切です。
好奇心を失わずに、さまざまなことに向き合う姿勢が、大学以降の学びや、研究活動を行う上での基本になるからです。
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