信州大学 繊維学部化学・材料学科 教授 杉本 渉 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!3秒でスマホを充電? その秘密とは!
スマホが3秒で充電できたり、体内に埋め込んでも安全な夢のような蓄エネ素子「スーパーキャパシタ」を開発しています。これはナノ材料の表面を利用した新しい蓄エネ技術で、瞬時に電力を貯めます。その仕組みとは? 小さいからこそ良いことだってあるんです。
電池の現状と未来について
新しい蓄電装置スーパーキャパシタとは
ナノ技術で電池が変わる
3秒でスマホを充電? その秘密とは!
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみようスーパーキャパシタを使えば一瞬でフル充電が可能になる!
もう充電器はいらない?スマートフォンやパソコンの中にはリチウムイオン電池だけでなく、ほかにも電池が入っています。いわゆるコンデンサと呼ばれる「キャパシタ」で、さらに進化した「スーパーキャパシタ」も作られています。スーパーキャパシタは物理化学反応をベースにしているため発熱によるロスが少なく、うまく作ればiPhoneを数秒でフル充電することやガソリンの給油と同程度のスピードで電気自動車をフル充電することも可能になります。 さらに充電速度と効率を上げれば、非接触充電の要領で自動充電しながら走行することもできます。世界中で自動充電と自動運転の開発が並行して進められており、既に実験ラインが組まれるなど、実用化まで見据えられています。ナノシートを「立てる」ことで効率アップ層状の化合物をナノサイズのシートにバラバラにした後に、積層させることでスーパーキャパシタに使うナノシート電極が作れます。実際にはナノシートを浮かせた溶液を基板などに塗布して使うのですが、重力の関係からナノシートは溶液内で「寝た」状態となります。電気エネルギーはナノシートの間に蓄積されるため、上下から流れた電気はナノシートの表面を回り込むロスが生まれます。そこでまずナノシートを垂直に立たせ、フリーズドライの要領で凍らせてから乾かします。ナノシートが「立った」状態で使えれば電気は一直線に層の間に入ることができ、急速充電や急速放電が可能になるのです。レアメタルを使ったキャパシタの用途とは一般的なスーパーキャパシタは活性炭を使うため、非常に低コストです。現状、最も性能がよいのは酸化ルテニウムを使ったナノシート電極です。ルテニウムは希少性が高いレアメタルで高価なので、人工衛星や心臓のペースメーカーなど、性能の高さをより生かせる用途がよいでしょう。 ほかにも酸化マンガンや酸化チタンなどでもナノシートを作れますから、性能とコストを考えてどう使っていくかがポイントになります。先生からのメッセージ
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