新潟大学 工学部工学科 材料科学プログラム 准教授 佐々木 進 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!もしも1/1000兆の超小人になったら?
「ミクロの決死圏」というSF映画では、難病患者を治療するために、医師たちが1ミリに「縮小」されて人体に入ります。現実ではありえない? いや、実は1/1000兆の超ミクロになる方法があるのです。そうしたら、世界はどんなふうに見えるのでしょうか?
原子核と会話できる?
超伝導に革命!
量子コンピュータも夢じゃない!
もしも1/1000兆の超小人になったら?
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう超小人が見ている世界とは? 物質のミクロな構造と量子コンピュータ
超小人になって物質の中に潜入!電気抵抗ゼロの「超伝導」は、リニアモーター・カーとして実用化目前です。ハイブリッド車には強力な「磁石」が搭載されています。このような性能をさらに向上させるためには、その「からくり」を明らかにする必要があります。 多くの場合、「特定の」原子が張本人となって、このような不思議な現象を引き起こしています。ですから、映画『ミクロの決死圏』のように物質の中に潜入し、物質を構成する原子たちの奥深くにいる「原子核」(=超小人)の視点に立って、「超伝導や磁性の張本人を特定すること」が極めて有力な手段なのです。超小人が住む世界の不思議通常、波と粒子はまったく別ものですが、超小人が住んでいるミクロな世界では、波と粒子は常に表裏一体です。この二重性ゆえに、1つの粒子が複数の場所に同時に存在したり、遠く離れた粒子同士が瞬時に情報を伝え合ったりします。このような不思議な世界の特性を利用して、現在の性能をはるかにしのぐ超高速の「量子コンピュータ」を開発する試みが世界中でなされています。超小人は「分身の術」を使う?複雑な迷路の出口を探し出す手順をイメージしてください。現在のコンピュータは、可能な経路を逐一探りながらゴールをめざします。現在のコンピュータが人間よりも早く答えを見つけるのは、個々の経路を探る時間が圧倒的に人間よりも短いためです。しかし、探索すべき経路の数が膨大になると、さすがのコンピュータも正しい経路を見つけるのに千年、万年、それ以上の時間を要します。これを解決するには、「ガチ」の粒子として逐一経路を探るのを諦めて、迷路の入り口で「分身」(=波と粒子の二面性を発揮)し、「同時に」経路を探ればいいのです。これを「並列処理」と呼びます。これが「量子コンピュータ」の原理です。 現在のコンピュータは膨大な電力消費も大きな問題ですが、量子コンピュータは、「超高速」と「並列処理」ゆえに「省エネ・コンピュータ」でもあるのです。先生からのメッセージ
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