群馬大学 理工学部物質・環境類(材料科学プログラム) 教授 浅川 直紀 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!高分子を用いた生体模倣エレクトロニクス
近年、地球規模での情報処理技術の省エネ化の必要性が叫ばれています。一方、動物の神経系では、超低消費電力の情報処理が実現されており、周囲のノイズが使われています。講義ライブでは、生体模倣型情報処理デバイス実現の可能性について触れます。
「ノイズ」は必要なもの?不要なもの?
「ニューロモルフィックデバイス」について
高分子半導体の役割
高分子を用いた生体模倣エレクトロニクス
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう高分子の「ゆらぎ」を利用して省エネのコンピュータをつくる
情報処理を省エネルギー化する現代はパソコン、スマートフォンが爆発的に普及し、ユビキタス、IoT(モノのインターネット)など、インターネットを介した情報処理が企業活動だけでなく暮らしのすみずみに行き渡り、情報処理にかかるエネルギー消費も爆発的に増えています。2025年頃には、全人類の使うエネルギーの20~40%を情報処理関連機器が使うという試算があります。情報処理を省エネルギーなものにすることが、科学技術に課せられた命題です。人間の脳はコンピュータの1万倍の効率現在のコンピュータは、CPU(中央演算装置)に、10億個ほどのトランジスタの素子が入っています。それに対して人間の脳には800億~1000億個のニューロンと、そのつなぎ目であるシナプスと呼ばれる部分からなる「素子」があります。脳はそれらの発する電気信号が複雑に絡みあって情報処理をする「エレクトロニクス機器」と言えます。しかも、パソコンの約100倍も素子数が多いにもかかわらず、その消費エネルギーは情報処理だけで見ると数ワットと言われています。つまりエネルギー消費を見るとパソコンの10分の1以下しかなく、数千倍から1万倍くらいエネルギー効率がいいことになります。人間の脳を模倣した省エネの人工知能をつくる脳の動作原理や構造を模倣するには、脳の中にあるニューロンのような回路をつくる必要があります。ニューロンの電気特性としては、壊れた電気部品のようにノイズ(雑音)を吐いてそれらがつながることで情報処理を行っています。有機物は巨視的レベルではじっとしているように見えますが、分子レベルでは激しく動いています。そういう分子レベルの「ゆらぎ」がノイズを発してニューロンに似たような働きをすると考えられます。そこで、高分子半導体やバイオベースポリマー絶縁体のような高分子を素材に用いて、エネルギー効率のいい、人間の脳に学んだ省エネの人工知能(AI)をつくる研究が進められているのです。先生からのメッセージ
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