愛媛大学 工学部 機械工学科 教授 黄木 景二 先生

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炭素繊維でもっと軽くて強い乗り物を作る!
これまでは金属の塊だった飛行機や自動車ですが、「炭素繊維」を使った素材で構造や部品を作ることで、軽くて、しかも強くすることができます。軽量化によって燃費が向上すれば、二酸化炭素の排出量が削減でき、地球温暖化防止にもつながります。
先生からのメッセージ
私の研究の原点は、「いろいろなことに興味を持ち、なんでもやってみること」です。あなたにも、まずはいろいろなことを勉強してほしいと思います。
学問は1つしかありません。化学や物理、生物といった教科は、物事の見方や考え方によって切り口がどう見えるか、つまり「切り方」「見え方」を勉強しているのです。学問の根っこは1つです。「生物と工学」も「文系と理系」もくっついています。学問に垣根をつくらず、得意、不得意はあってもいいので、さまざまなことを勉強しておくと、将来広い視野で物事をとらえられるようになります。
先生がめざすSDGs
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炭素繊維強化プラスチックは、どんな未来の世界をつくり出すのか?
軽くて強い炭素繊維複合材の可能性
飛行機やロケット、自動車など輸送機器の開発では、安全性を高めることに加え、軽くすることも大切です。軽い乗り物ができれば、燃費の向上、二酸化炭素排出量の削減、地球温暖化の防止にもつながります。そこで注目されているのが、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)という材料です。プラスチックを炭素繊維で強化したもので、鉄やアルミといった金属よりも軽くて、強いのが特徴です。このCFRPが近年、飛行機や自動車などの材料として取り入れられています。最新鋭の中型旅客機、ボーイング787には、主翼や尾翼、胴体など、機体重量の約50%でCFRPが使われています。
新材料の未知なる部分を知る
CFRPを飛行機などの材料として使う場合、薄いシートを積層して成形するのですが、その過程で反ってしまいます。強いからこそ、加工が難しいという課題もあります。また、CFRPはほとんど金属疲労のような「疲労」はしないと言われていますが、衝撃などさまざまな力を与えると、想定していたのと違う場所が壊れるなど、予想外のことが起こります。炭素繊維の分野は現在、日本が世界をリードしていますが、金属と比べて新しい素材だけに未知の部分も多く、この材料の「成形、加工法」「より強度を高める方法」「できるだけ長く使うためのメンテナンス法」など、特徴や耐久性などを実験で検証していかなければなりません。
社会の安全、安心への貢献も
CFRPを輸送機器以外の材料としても使うためには、物体を壊さずに傷や内部の状態を確認する非破壊検査の手法を確立し、CFRPでつくられたものがどんな状態なのか、強度は落ちていないかなどを調べる必要があります。それが可能になれば、安全性や強度が求められる原子力プラントや道路、橋といったインフラの材料としても応用できるかもしれません。CFRPで確立する技術は、社会の安全、安心を守ることにもつながっていくのです。
先生からのメッセージ
私の研究の原点は、「いろいろなことに興味を持ち、なんでもやってみること」です。あなたにも、まずはいろいろなことを勉強してほしいと思います。
学問は1つしかありません。化学や物理、生物といった教科は、物事の見方や考え方によって切り口がどう見えるか、つまり「切り方」「見え方」を勉強しているのです。学問の根っこは1つです。「生物と工学」も「文系と理系」もくっついています。学問に垣根をつくらず、得意、不得意はあってもいいので、さまざまなことを勉強しておくと、将来広い視野で物事をとらえられるようになります。
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