広島大学 工学部第三類(化学・バイオ・プロセス系) 教授 福井 国博 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!粉体技術で環境・リサイクルプロセスを構築
新素材や新薬などが開発されても、それらを安定的に安価に、環境にやさしいプロセスで製造できなければ皆さんの手元に届けることはできません。そのための「化学によるものづくり」の研究分野が「化学工学」です。再資源化プロセスを例としてお話しします。
ゼオライトでゴミを資源に
大昔から身近に使われている粉の技術
バイオマスの課題、灰を捨てると高くつく
粉体技術で環境・リサイクルプロセスを構築
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう製造プラントに欠かせない、「粉」に関する化学工学の知識
粉にはさまざまな機能がある私たちの身のまわりにはさまざまな微粒子、いわゆる「粉」が存在して、人間と深い関わりがあります。例えば、空気中のPM2.5は高濃度になると健康被害を引き起こします。小麦粉は粒の大きさによって、強力粉、中力粉、薄力粉に分かれています。大きさだけでなく成分も違い、最も大きな粒の強力粉にはパンを作れるグルテンが含まれています。エジプトのピラミッドでは、宝物の盗掘防止のために重い岩の扉がありました。その下には微細な砂を敷き、力を分散させて崩壊を防いでいました。廃棄物の粉を再資源化してリサイクル廃棄物としての粉もあります。バイオマス発電では、未利用木材や製材から出た木くずなどを燃やして発電しますが、そこから出た灰は産業廃棄物になります。しかし、この灰を再利用、再資源化しようという研究が行われています。灰の粒子の大きさにはバラツキがあり、小さな灰にはカリウムが多く含まれています。これを原料に肥料を作ることができます。一方、大きな灰にはカルシウムが多く含まれていて、木材製品の増量材として利用できます。廃棄物は処理にコストがかかりますが、再資源化すれば、資源の循環、リサイクルにつながるだけでなく、販売して収入を得ることができます。「化学工学」とはどんな学問かこのような粉の利用に必要なのが、粉を作り、粒子の大きさを計測して、その大きさを変え、同じ大きさのものを集め、ほかの成分を混ぜる技術です。粉という状態は、最終的な製品はもちろん、製造の途中で頻繁に出現します。時には、詰まったり、くっついたりして製造を妨げる悪者になることもあります。 ですから、粉をコントロールすることは、生産効率を上げ、新しい製品づくりに役立ちます。「化学工学」という学問の一分野として、このような粉(粒子)について、粒子そのものの開発から、装置の開発、機能や製造プロセスの開発、製造のトラブルシューティングまで幅広く研究する分野があります。先生からのメッセージ
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