長崎大学 工学部 工学科 電気電子工学コース 教授 阿部 貴志 先生

30分のミニ講義を聴講しよう!
もっと先へ! 電気自動車の新技術
地球温暖化やエネルギー枯渇問題などの解決策として、電気自動車の開発と普及が注目されています。講義ライブでは、電気自動車を支えるモーター技術とパワーエレクトロニクス技術を紹介し、現在研究中の新しいモーターやその制御技術について解説します。
先生からのメッセージ
照明、エアコン、テレビ、電車、電気自動車、パソコンやスマホ、もちろんネットワークの情報サービスにも、私たちの生活には多くの電気エネルギーが利用されています。今、再生可能エネルギーへの転換など、エネルギー問題は大きな変革期を迎えています。
電気エネルギーを持続的に、地球にやさしく作り、確実に安定して送り、配り、そして無駄なく使う。
電気のある豊かな生活を高度な技術で支え、持続可能な未来社会を創造する。この伝統ある長崎の地から、私たちは世界へ発信しています。
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次世代の電気自動車を実現する技術、パワーエレクトロニクスとは
パワーエレクトロニクスシステムで効率化
私たちの回りには、モーターを利用した数多くの電気製品があります。例えば、EV(電気自動車)では、バッテリーが搭載されていて直流の電気エネルギーを蓄えています。これを交流の電気エネルギーに変換して、交流モーターから駆動力を得ています。この時に、交流モーターの回転数や駆動力をバッテリーのエネルギーを無駄にしないように制御しています。このような、電気エネルギーの変換や制御を中心とした応用システムを「パワーエレクトロニクスシステム」といいます。モーターや電力変換装置、そして制御技術を高めることで、より航続距離の長い高性能なEVが実現されます。
走行条件に合わせて効率よく動くモーター
モーターは磁束と電流の積に比例した駆動力を発生します。EVでは大きな磁束が得られる永久磁石を利用した、永久磁石交流モーターが使用されています。この永久磁石には性能を高めるためにレアアースが使用されていて、資源調達が不安視されています。また、永久磁石交流モーターの効率が最もよいのは、時速50km程度で平坦な道を走るときに限られます。実際には、車はさまざまな条件で走行しています。そこで、永久磁石を使用しないで、走行に合わせて効率がよくなる磁束の大きさと電流を制御できる、新しい交流モーターの開発が期待されています。
自在なエネルギー変換とロスを減らす電力変換技術
交流モーターを動かすためには、バッテリーの直流エネルギーを交流エネルギーに変換するインバータという電力変換装置が必要です。この装置には半導体を利用したスイッチが利用されていて、直流を交流に効率よく変換することができます。新しい交流モーターは、磁束を発生させるために電磁石の原理を利用しているため、走行に合わせて効率をよくする制御に加えて、複雑な制御方法が必要となります。
エネルギーの効率的利用は、環境を重視する次世代の大きな課題です。パワーエレクトロニクスシステムは、そのための重要な技術を提供するのです。
先生からのメッセージ
照明、エアコン、テレビ、電車、電気自動車、パソコンやスマホ、もちろんネットワークの情報サービスにも、私たちの生活には多くの電気エネルギーが利用されています。今、再生可能エネルギーへの転換など、エネルギー問題は大きな変革期を迎えています。
電気エネルギーを持続的に、地球にやさしく作り、確実に安定して送り、配り、そして無駄なく使う。
電気のある豊かな生活を高度な技術で支え、持続可能な未来社会を創造する。この伝統ある長崎の地から、私たちは世界へ発信しています。
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