岐阜大学 工学部化学・生命工学科 教授 横川 隆志 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!タンパク質の持つ可能性を拡げたい!
細胞の中では、遺伝子が指定する順にアミノ酸が連結することでタンパク質が作られます。アミノ酸の並び順を変えたり、アミノ酸の種類を増やすことで、地球史上、どの生物も作っていないような新しい機能を持つタンパク質を創り出すための研究を紹介します。
限られたアミノ酸が使われる?
タンパク質の作り方~途中まで~
生物じゃなくてもタンパク質は作れる?!
タンパク質の持つ可能性を拡げたい!
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみようタンパク質の研究で世界初の物質を作り、生命の起源に思いをはせる
生命の理解につながるタンパク質の研究肌や臓器など生物のパーツを構成するタンパク質は、生命にとって重要な役割を果たしています。タンパク質の機能の解明は生命を追究することと同時に、創薬や医療などへの応用にもつながります。では、タンパク質はどのように作られているのでしょうか。 タンパク質を構成しているのは、20種類のアミノ酸です。アミノ酸の種類や数、連結される順番などにより、多様なタンパク質に作り分けられています。この内容を決めているのが遺伝子であるDNAです。DNAがどんなタンパク質を作るのかを指示しているのです。多様なアミノ酸で作る新しい物質人間も、酵母や大腸菌といった微生物も、タンパク質を合成する工程はほぼ同じです。したがって、微生物を利用すれば、スピーディーにタンパク質を作ることができます。でも、微生物の種類ごとに微妙な違いがあります。その違いを解明することで、より効率良くタンパク質を作れるようになります。 さらに、遺伝子操作によって設計図であるDNAを変えれば、新しいタンパク質を作れます。また、アミノ酸は、何百種もあり、人工的に作られたものを含めると膨大な量になります。これらを利用すると、今までにない新しい物質を作ることもできるでしょう。シルク以上に光沢のある繊維ができるかもしれないし、クモの糸より強力な物質ができるかもしれません。太古にも存在した微生物の研究で新たな分野を創るまた、近年になって21種のアミノ酸をもつ微生物(アーキア)が発見されました。これも多様な可能性を秘めています。メタンガスを発生させて生育するので、DNAを設計して大量のガスを発生させられれば、エネルギー問題に貢献できるかもしれません。さらに、アーキアは酸素がなかった地球史上の初期にも存在したと考えられる微生物です。きっとアーキアの研究は、生命の起源についての研究にもつながっていくでしょう。 このように、タンパク質の研究は、まだまだ未知の部分が多く、幅広い可能性を秘めた分野といえます。先生からのメッセージ
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