九州工業大学 情報工学部 生命化学情報工学科 教授 竹本 和広 先生

30分のミニ講義を聴講しよう!
そのAI、本当に使っても大丈夫ですか?
人工知能(AI)は社会で広く使われようとしていますが、「騙されやすい」という問題をもつことを知っていますか? 講義では、AIの騙されやすさについてわかりやすくお伝えし、信頼できるAIを開発することが重要であることをお話しします。
先生からのメッセージ
もし、学問が窮屈に感じるなら、大学に来てみてはどうでしょうか。学問はもっと自由です。大学には自由で挑戦的な学問分野がたくさんあります。「生命情報工学」もそのひとつです。コンピュータで生物を理解するなんて、少し前までは夢物語だと思われていました。でも今では、学術的にも産業的にも注目される分野になっています。人と違うことをするには勇気がいりますが、そこにこそ未来があります。自分自身で物語を描き、新しい未来を切り開きましょう。そのお手伝いができれば幸いです。
先生がめざすSDGs
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ネットワークで生命の方程式を解き明かせ
多様な生物にひそむ単純な法則
生命の方程式がある、と言ったら驚きますか? 生物は複雑で多様です。微生物のように小さい生物もいれば、クジラのように大きい生物もいます。これらの生物をひとつの視点から語ることはできそうにもありません。ところが、生物のような多様で複雑なシステムにはしばしば単純な法則が見られます。その法則とは、酸素消費(呼吸)速度に関わるものです。呼吸速度は重要です。なぜなら、それはエネルギー消費や寿命などの生物学における重要な生理と関係するからです。
生命の方程式:生物学における未解決問題
具体的に、呼吸速度は体重の4分の3乗に比例します。この方程式はさまざまな生理を考える際に役立ちます。そのため「生命の方程式」と呼ばれています。ただ、この式は観測データから導かれた「経験則」です。つまり、なぜこのような式が得られるのかについては、いくつかの理論的な試みがあるものの、具体的な答えはいまだに得られていません。これは、生物学における未解決問題のひとつなのです。
生体分子の「ネットワーク」が鍵
ところが、近年の計測技術の発展で得られるようになった膨大な生物データが、生命の方程式の正体を明らかにしてくれそうです。呼吸を含む生命活動は、遺伝子、タンパク質、化合物といった、多くの生体分子が複雑に相互作用することによって生じています。このような複雑な相互作用は「ネットワーク分析」という手法を用いることで理解できます。具体的には、呼吸と関連する遺伝子(のグループ)がどれであるかなど、呼吸という生理が生体分子ネットワークとしてどのように記述されているのかがわかります。呼吸速度は体重というよりはむしろ生体分子ネットワークに支配されているのです。このことは、「生物群集が排出する二酸化炭素はどの程度なのか」や「寿命を延ばすにはどうしたらよいか」などを生体分子レベルで考える上で役に立ちます。生命の方程式をネットワークで解くことは環境や医療の分野でとても重要なのです。
先生からのメッセージ
もし、学問が窮屈に感じるなら、大学に来てみてはどうでしょうか。学問はもっと自由です。大学には自由で挑戦的な学問分野がたくさんあります。「生命情報工学」もそのひとつです。コンピュータで生物を理解するなんて、少し前までは夢物語だと思われていました。でも今では、学術的にも産業的にも注目される分野になっています。人と違うことをするには勇気がいりますが、そこにこそ未来があります。自分自身で物語を描き、新しい未来を切り開きましょう。そのお手伝いができれば幸いです。
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