公立諏訪東京理科大学 工学部機械電気工学科 教授 渡邊 康之 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!太陽電池と光合成の違いから考える未来社会
人が快適に暮らしていくためには食料や電気、燃料が必要です。太陽光エネルギー利用の観点から、光合成と太陽光発電の違いについて詳しく解説します。さらに、作物栽培や燃料生成に必要な光を通しながら発電する光透過型太陽電池について紹介します。
太陽電池と光合成の違い
アインシュタインのおかげで太陽電池が誕生
太陽光から電力を得る仕組み
太陽電池と光合成の違いから考える未来社会
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう太陽光エネルギーが明るい未来をつくる!
東日本大震災以降注目を浴びる太陽電池2011年の東日本大震災以降、太陽光エネルギーが注目を浴びています。太陽光は地球上にいる限り無料で半永久的に供給されるエネルギーです。日本では1970年代の「サンシャイン計画」以降、腕時計などの小型電池や民家の屋根に設置して給湯などに使われるソーラーパネルの開発などの太陽エネルギーの利用が進められてきました。2000年代に入って発電に使えることが注目されはじめ、ことに震災による原子力発電所の事故、その後の放射能汚染などにより、原発による電力の供給が危ぶまれ、それに代わる環境にやさしく安価な発電方法として太陽電池がクローズアップされてきています。自然との調和をめざして既存の太陽電池から進化した次世代太陽電池の開発が、大学や研究機関などで進められています。未来型の太陽電池に望まれることの一つは自然との調和です。例えば緑豊かな山に従来型のソーラーパネルを設置すると、日光を遮断して植物の成長を妨げ、事故などで落下したときは植物を傷めてしまう危険性もあります。次世代型太陽電池の一つに「有機薄膜太陽電池」というフィルム状の薄い膜に太陽光を吸収する有機半導体を印刷する形でつくったものがあります。これだと植物の栽培に必要な日光を透過させ、軽いので植物と共存しながらエコでクリーンな発電の場所が確保できるというわけです。燃料や食糧問題への活用も期待発電した電気を電池などの形で貯蔵するのは限界があります。いざというときのために燃料という形で蓄えておくためには、太陽光を使って植物が光合成するときの反応をモデルに、太陽光エネルギーを水素燃料などに変換して貯蔵する人工光合成システムの研究が注目されています。また光合成の促進技術を用いて薬草などの高付加価値の植物やオイルを生成する藻類を育てる植物工場などの研究も進められています。21世紀の問題としてエネルギー、食糧、環境がよく挙げられますが、太陽光をうまく使えば問題解決の糸口が見え、明るい未来が訪れるかもしれません。先生からのメッセージ
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