豊橋技術科学大学 工学部情報・知能工学系 教授 中内 茂樹 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!色の見え方を科学する
講義ライブでは、「色覚」の仕組みと、多様な色覚に対応したカラーユニバーサルデザインの考えについて紹介します。また、「色弱模擬フィルタ」について、その原理と開発過程、カラーユニバーサルデザインツールとしての機能を説明します。
センサーの有無で「色」が変わる!
ニュートンが「色」について言ったこと
色の見え方を科学する
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう「あなたが見ている世界」と「隣の人が見ている世界」は違うかも?
AIもかなわない、人間の天然知能友だちが歩く姿を見て「なんだか疲れているな」と感じたり、食器を見て「壊れやすそうだな」と判断したり、人間の脳はとても複雑な情報処理をしています。AI(人工知能)もかなわない素晴らしい天然知能が人には備わっているのです。ものを見るときにも、色や形だけではなく透明感・ツヤ・ざらつきなどのいろいろな情報を眼球の網膜から取り込んで、脳で処理をし、認識しています。 もし、目の前にツヤツヤした赤いリンゴがあったとしても、本当にリンゴがツヤツヤした赤い色をしているわけではありません。あなたの脳が「ツヤツヤした赤いリンゴだ」と判断しているだけなのです。リンゴが赤くない世界がある?大半の人は視覚や色覚の機能が似ているので、目の前のリンゴを「赤いリンゴ」として見ています。でも、中には違って見える人たちがいるのです。人間の眼球には赤・青・緑を感じる3種類のセンサがありますが、そのセンサが2種類だけの人です。その人たちは、特定の色を感じないので、例えば赤いリンゴが黒っぽく見えると推測されています。また、このような色弱の人は、日本におよそ300万人いると考えられています。つまりあなたの見ている風景が、隣の人が見ている風景と同じものとは限らないのです。科学と工学の連携で、多様性を応援する社会へ黒地に赤い字で書かれた案内板を色弱の人が見たら、ものすごく読みにくいでしょう。社会には、多くの標識・表示・Webコンテンツ・印刷物がありますが、色弱の人や高齢者など、あらゆる人に見えやすいように配慮した「カラーユニバーサルデザイン」が求められています。そして、実際に色弱の人たちの色の見え方を再現するコンピュータ・シミュレーションや眼鏡型フィルタの開発も進んでいます。 人間がどうやって世界を理解しているかを研究する人間科学・認知科学と、視覚技術などの工学を結びつけることで、多様性のある社会に貢献することができるのです。先生からのメッセージ
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