九州工業大学 工学部電気電子工学科 教授 竹澤 昌晃 先生
この夢ナビTALKは英語翻訳されています。動画の右下の字幕のアイコンをクリックすると英語字幕が表示されます。
30分のミニ講義を聴講しよう!世界最強!日本の磁石が地球を救う
日本が生んだ世界最強ネオジム磁石!小型軽量、ハイパワーのモータを実現し、電気自動車の実用化に大きく貢献しました。その省エネ効果は原発数台分と言われ、地球環境を支える先端材料です。資源問題の危機を乗り越えるための研究最前線を紹介します。
この学問にはどんな未来が待っていますか?
なぜこの学問を究めたいと思ったのですか?
この学問の最前線の取り組みを教えてください。
世界最強!日本の磁石が地球を救う
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう日本のスゴイ技術! 世界最強の磁石を支える研究
磁石は生活必需品「磁石」は、身の回りのさまざまな製品に使われる生活必需品です。例えば、パソコンやスマートフォン、テレビや冷蔵庫、電気自動車やハイブリッドカーといったエコカーなどに利用されています。これらに使われる磁石は、「永久磁石」と呼ばれる電流を切っても磁力を保つもので、複数の元素を混ぜて作られています。世界をリードする日本の磁石研究磁石の開発は、大正時代に作られた「KS鋼」から、現在世界最強の磁力を持つ「ネオジム磁石」に至るまで、日本の研究が世界をリードしています。ネオジム磁石は、ネオジムと鉄、ホウ素が主な材料で、ハイパワーのモーターを実現し、機器の小型化・軽量化、省エネに大きく貢献しました。その効果は、原子力発電所数基分の削減に匹敵すると言われます。 もともとネオジム磁石には、熱に弱いという欠点がありました。自動車のモーターに使う磁石には、約200℃の高温にも耐えることが求められます。そこで、ディスプロシウムというレアメタル(希少金属)を加えて、耐熱性を高める製法が開発されました。ところが、ディスプロシウムは埋蔵量が少ないうえ、ほとんどが中国で採れるので、2010年に中国との関係が悪化すると、安定的な輸入ができなくなってしまいました。さらなる改良に挑むディスプロシウムをなるべく使わない磁石を作るため、日本はさらなる技術革新に挑みました。磁石の構造を調べて、製法を改良したのです。構造を調べる手法の一つに、「磁区」の観察があります。磁石の中には、さらに小さな目に見えない磁石がたくさん詰まっているので、光学顕微鏡を使ってそれを可視化するのです。材料や熱などによって、磁区がどのように変化するのか、物理的なメカニズムを解明すれば、製法の改良につながります。こうした研究の成果によって、ディスプロシウムを低減した磁石が開発されました。今後も、身の回りの製品をもっと便利に、地球環境を改善する先端材料=磁石の研究開発は続いていきます。先生からのメッセージ
- このTALKも見てみようは英語字幕あり