弘前大学 人文社会科学部 教授 曽我 亨 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!人類学者はなぜ異文化をめざすのか
なぜ異文化を学ぶのでしょう。人類学は、自分たち自身のことを知るために異文化をめざします。自分を知るためには鏡が必要です。講義ライブでは、異文化のなかに身を置き、違和感という鏡を使って自分たちの社会を理解する方法を説明します。
アフリカの人たちの生活を見てみる
アフリカを鏡に自分たちを見てみる
将来不安な日本人、自信のあるアフリカ人
人類学者はなぜ異文化をめざすのか
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう異文化を鏡に自社会の姿を知る~異なる社会を比較研究する人類学~
他者を鏡に自分の姿を知る「人の振りみて我が振りなおせ」という格言があります。他人の嫌な言動や態度をみたら、それを自分に置きかえて省みようという意味ですが、人類学もこれに似た考え方をします。自分の振る舞いを、客観視することはとても難しく、だからこそ異文化に生きる人々と一緒に暮らし、驚きや違和感を手がかりに、私たち自身のことを知ろうとするのです。また逆に、私たち自身のことを手がかりに、彼らの振る舞いを理解しようともします。哲学が本を片手に考えをめぐらせるのとは対照的に、人類学はフィールドに出かけて、身体で体験しながら人間について考える学問です。自信に満ちた牧畜民あなたは自信に満ちて生活していますか? 北ケニアの牧畜民と暮らすと、彼らがとても自信に満ちていることがわかります。一方で学生に「自分はダメだと思ったことがあるか?」と聞くと、ほとんどの学生が手を挙げます。ということは、この感覚はあなただけが感じる個人的な現象ではないということです。むしろ日本の社会こそが、あなたにそう思わせているのだと考えられます。牧畜民と私たちの社会を比べることで、自己肯定的な生き方を実現するヒントがみえてきます。充実した今を生きる牧畜民たちは、どうして自己肯定的な生き方ができるのでしょうか。フィールドワークによって、彼らは家畜とともに生きており、「子どものうちは羊の放牧を、青年になると牛の放牧をする」というように、自分の未来を予測できる社会に生きていることがわかります。一方、私たちが暮らす現代の社会は、「未来を現在よりもよくするために、人は変わり続けなければならない」という価値観をもとに作られており、人は常に「このままではダメだ」と変化を求められます。 近年、私たちの社会も大きく変わり、未来の不確実性も高まってきました。不確実な社会を生きるにはどうしたらよいでしょうか。地域の人たちの考えを拾いあげ、充実した「今」を生きる術を考えることも、人類学の大切な役割です。先生からのメッセージ
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