山口大学 国際総合科学部国際総合科学科 准教授 秋谷 直矩 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!身近なものの使い方の観察から始める社会学
私たちの暮らしにはさまざまなテクノロジーや道具があふれていますが、実際には、それをどう使っているのでしょうか? こんなささいなことからも社会学は研究を始めることができ、深い議論を展開できます。講義ライブではその面白さについてお話しします。
当たり前って難しい
自然と人は人同士接触を避けている
エレベーターでの当たり前からわかること
身近なものの使い方の観察から始める社会学
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう私たちの生活の「当たり前」のことを掘り下げる「社会学」
当たり前のことをそれとしてこなす「やり方」信号機のある横断歩道では、青で進み、赤で止まるというのがルールです。生まれつき目が不自由な人は、青や赤という色彩はもちろん、街の構造を視覚で確認したことがありません。それでも移動が可能なのはなぜでしょう? 信号システムでは、車道と歩道があり、信号機の色が交互に変わることで車や歩行者の移動を制御しています。視覚障がい者は、これを概念として理解しているのです。概念で理解しているという点では、晴眼者(目が見える人)も同じです。「横断歩道とは何か」、そして「横断歩道を渡ることとはいかなることなのか」を視覚障がい者も晴眼者も知っているからこそ、横断歩道を「適切に」渡ることができるのです。もちろん、街の構造を理解するために使う感覚器官は、晴眼者と視覚障がい者は同じではありませんから、そこでの「歩き方」や「環境の理解の仕方」については、それぞれ独特なものが編み出されます。「エスノメソドロジー」という研究法これは一例でしかありませんが、このような日常生活を人々に可能にしているさまざまな「世界の理解の仕方」を探究する分野を「エスノメソドロジー」と言います。これは、社会学の研究法の1つです。トピック的な話題だけが社会学のテーマではない社会学というと、「社会問題」という言葉で説明されるような話題を扱う学問だと考えている人が多いかもしれません。確かにこのような理解は間違ってはいないのですが、すべてがそうだというわけではありません。とるに足らないような「当たり前」のことも研究対象になりえます。そもそも「当たり前」がどのようなものなのかを理解していなければ「当たり前でないこと」が何かを特定することはできません。ところが、「当たり前のこと」については、それが「当たり前」であるがゆえに、わざわざそれについて立ち止まって考えるということを私たちは日常的にはしません。しかし、まずはそれを理解しなければ、人間や社会を理解したことにはならないのです。先生からのメッセージ
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