30分のミニ講義を聴講しよう! 作物の「おいしさ」を決める遺伝子を探せ!

おいしい食べ物は好きですか? 私は、作物の「おいしさ」に興味を持ち、作物がおいしくなる仕組みを理解するために、おいしさを決める遺伝子を探しています。講義ライブでは、おいしさ遺伝子の探索法を紹介し、おいしい作物の開発について一緒に考えましょう。

受講した高校生のコメント

先生からのメッセージ

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遺伝子の解読によって、品種改良の世界はぐっとスマートになりました。しかし、だからといって、作物や土に触れずに研究することはできません。研究対象が作物として育っていないと意味がないので、データだけではなく、畑や田んぼで実際の農作物に毎日のように触れながら研究することも大切です。
遺伝子のことは難しそうに思っても、作物に触れたり、育てたりすることが好きなら、十分に学べる分野ですので、高校生のうちは、生物の授業などを通して、植物や食への興味をしっかりと育んでいってください。

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夢ナビ講義も読んでみよう 農作物をもっとおいしく安全にする「遺伝育種学」の可能性

より正確に効率よく品種をつくる設計図 2000年を境に、植物の遺伝情報の解読が進んだことで、新たな農作物を開発する品種改良も飛躍的な進歩を遂げました。品種改良は、農作物研究の世界では王道ともいえる分野ですが、従来は、品種同士の交配を繰り返す方法で、研究者の経験や勘、偶然に頼る部分もありました。
しかし、農作物ごとに遺伝情報が解読された現在では、遺伝子の「設計図」を基にした研究が可能になり、研究・開発の精度と効率が大幅に向上しました。丈夫で病気に強い品種や、おいしい作物が次々に開発され、私たちの食生活を豊かにしています。このように、遺伝情報を用いた品種改良を研究する学問が「遺伝育種学」です。
品質重視の日本型農業 遺伝育種学は世界的な人口爆発による食糧不足対策や、環境変化に負けない強い作物づくりのためにも研究されていますが、日本では、おいしさや品質を向上させる研究が盛んです。特に、主食であるコメへのこだわりは強く、イネの遺伝子の解読は日本が世界をリードしていました。遺伝情報を用いることで、食感や香り、理想の食味をよりピンポイントで実現できるようになり、多くのブランド米が開発されています。TPP(環太平洋連携協定)の発効に向けて、アメリカ型の低コストで多収性を重んじる大規模農業に注目が集まっていますが、味や品質、安全性を追求する日本型農業の価値も高いといえます。 大きな可能性を秘める「ゲノム編集」 近年は、染色体に含まれる遺伝情報に直接働き掛け、遺伝子を自由に設計できるゲノム編集という技術も登場しました。この技術を使うことで、例えば、毒のある芽がでないジャガイモや、栄養価を高めたトマトなど、高度な品種改良が可能になっています。ゲノム編集で作った農作物は、現時点でその栽培規制のルールが決定されておらず問題点もありますが、「遺伝子組換え」よりも、安全性が飛躍的に向上するといわれています。このように、よりおいしく、安全な農作物をつくりだす上で、遺伝育種学は大きな役割を果たしています。

先生からのメッセージ

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遺伝子の解読によって、品種改良の世界はぐっとスマートになりました。しかし、だからといって、作物や土に触れずに研究することはできません。研究対象が作物として育っていないと意味がないので、データだけではなく、畑や田んぼで実際の農作物に毎日のように触れながら研究することも大切です。
遺伝子のことは難しそうに思っても、作物に触れたり、育てたりすることが好きなら、十分に学べる分野ですので、高校生のうちは、生物の授業などを通して、植物や食への興味をしっかりと育んでいってください。

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山形大学
農学部 食料生命環境学科
准教授 星野 友紀 先生