山口大学 農学部生物機能科学科 准教授 井内 良仁 先生
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30分のミニ講義を聴講しよう!老化抑制と寿命延長をめざして
皆さんは意外に思うかもしれませんが、「シロアリ」は、長寿命な生物のひとつです。その「シロアリ」の寿命について、抗酸化システムに注目した研究があります。そこからわかってきた、私たちとは大きく異なる彼らの長寿命戦略を紹介したいと思います。
シロアリが持つ抗酸化能力
酸素の消費と寿命の関係
シロアリが持つ抗酸化能力
老化抑制と寿命延長をめざして
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみようシロアリに学ぶ長寿の秘訣!?
老化の原因「活性酸素」活性酸素は老化の原因です。体内のタンパク質や脂質、DNAなどの核酸を酸化して、それらが持っている働きを破壊します。細胞に蓄積した酸化した物質は、最後は細胞を死に至らせます。老化が進むのは、死んだ細胞を体が処理しきれなくなり体内に残るからです。また、活性酸素は核酸を酸化するなかで遺伝子を傷つけ、正常細胞をがん細胞に変異させることがあります。がんは日本人の死因のトップで、平均寿命を短くしています。シロアリは活性酸素を完全に制御このように一見悪者に見える活性酸素ですが、一方で体になくてはならない存在でもあります。細菌やウイルスなどを排除する免疫機能や、新しい細胞を作り出す際に必要な物質だからです。活性酸素は、ほとんどが代謝サイクルで発生するので避けようとしても防ぎようがありません。そのため体内では、不要な活性酸素を抗酸化酵素やビタミンCやEなどの抗酸化物質によって無害化しています。つまり、健康や長寿のためには活性酸素をうまく制御することが必要となってきます。 活性酸素を完全に制御する代表がシロアリです。ほかの昆虫は1年も生きませんが、シロアリはほかの昆虫に比べ長寿で、特に王や女王アリは数十年も生きます。人間にもシロアリと似た仕組みがあるその理由はまだよくわかっていませんが、調べてみるとシロアリは強い抗酸化物質を持っています。それだけでなく、活性酸素を生み出さない代謝を行っているのです。簡単に言えば、「息をしていない」のです。では、人間はどうでしょう。人間は「息をせずに」生きることはできるのでしょうか? 実は、人間も似た仕組みを持っています。がん細胞は酸素を必要としない代謝を行っています。グルコース(炭水化物)をがん細胞が生きるためのエネルギーにするときに、酸素をほとんど必要としないのです。まだ研究はこれからですが、シロアリの長寿の仕組みが明らかになれば、そこからがん抑制や酸化をくい止める方法が見つかるかもしれません。先生からのメッセージ
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