千葉大学 園芸学部 応用生命化学科 教授 児玉 浩明 先生

30分のミニ講義を聴講しよう!
家畜の健康に役立ち、環境にも優しい微生物
プロバイオティクスとは、摂取することで健康増進が期待される生きた細菌です。45度以上の温度域で活発に増殖する好熱性細菌の研究から、家畜の健康を促進し、環境にも優しいプロバイオティクスを発見し、実用化した例を紹介します。
先生からのメッセージ
「園芸学部」と聞くと、植物を育てたり、花壇を造ったり、都市の緑化をしたりということをイメージするかもしれませんが、園芸学部のテーマは、実は、「食と緑」です。
「食」というテーマでは、食料をどうやって作るか、その機能性をどうやって高めていくか、「緑」というテーマでは、環境中の微生物がどういう働きをするか、それが人や動植物にどういう影響を与えるかなど、幅広い分野を研究します。イメージにとらわれず、総合的に学べる園芸学部をぜひのぞいてみてください。
先生がめざすSDGs
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人間の健康は腸内細菌次第? プロバイオティクス研究の可能性
細胞より多い腸内細菌
人間の体は、約37兆個の細胞でできており、その人間の腸の中には、なんと約40兆もの腸内細菌が棲んでいると言われています。全身の細胞の数より、腸内細菌の数の方が多いのです。現在、腸内細菌は、人間の健康を大きく左右する存在として、研究が進められています。
プロバイオティクスを取らせて健康なブタに
腸内細菌には実に多くの種類がありますが、大きく悪玉菌と善玉菌に分けることができます。悪玉菌が増えると、肥満になり、メタボリックシンドロームと言われるさまざまな病気にかかりやすい状態になります。善玉菌が増えると、肥満になりにくく、健康な状態を保つことができます。こうした腸内環境を改善する善玉菌を「プロバイオティクス」と呼び、研究が進んでいます。その成果の一つとして、腸内環境を調整する乳酸菌飲料が多数開発され、市販されています。
プロバイオティクスは、人間だけでなく、犬や猫などペットや家畜のエサにも活用されています。有機物を分解する細菌がたくさん棲み着いた発酵飼料を食べさせたブタは、余分な脂肪が減って肉の品質が良くなるという研究結果があります。プロバイオティクスとして働く細菌を取り入れることで、ブタの腸内環境が良くなり、より健康になったと考えられます。
循環型社会を作るために
人間や家畜の腸内には、たくさんの種類の細菌がいますが、それぞれが人間や家畜の健康にどのような影響を及ぼしているのか、まだまだわかっていません。それを解明していくことは、循環型社会を作っていくためのヒントでもあります。発酵飼料を食べた動物のふんには発酵菌が残っており、そこから堆肥を作ると良い堆肥になります。その堆肥を使って飼料や食品となる作物を栽培することができます。こうして循環する仕組みを作ることができます。
発酵飼料や発酵食品などの中から新たに有用な細菌を見つけ、細菌の機能の解明を進めることが、今後のプロバイオティクス研究の大きなテーマとなっています。
先生からのメッセージ
「園芸学部」と聞くと、植物を育てたり、花壇を造ったり、都市の緑化をしたりということをイメージするかもしれませんが、園芸学部のテーマは、実は、「食と緑」です。
「食」というテーマでは、食料をどうやって作るか、その機能性をどうやって高めていくか、「緑」というテーマでは、環境中の微生物がどういう働きをするか、それが人や動植物にどういう影響を与えるかなど、幅広い分野を研究します。イメージにとらわれず、総合的に学べる園芸学部をぜひのぞいてみてください。
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