電気通信大学 情報理工学域 III類(理工系)化学生命工学プログラム 教授 狩野 豊 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!バイオイメージングと筋細胞
運動は神経によってコントロールされていますが、筋細胞が神経の指令を受け取ると細胞内では何が起こると思いますか? 答えは、カルシウム濃度の変化なのです。バイオイメージングによる生きた筋細胞のカルシウムの動きを見にきてください。
生体外から筋繊維タイプを推定する方法
ミトコンドリアと筋肉
カルシウムは筋肉収縮の鍵
バイオイメージングと筋細胞
先生からのメッセージ
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筋収縮におけるカルシウムイオンの働きとは人間の筋肉の動きは、生体内の物質のやりとりによって制御されています。筋小胞体という細胞小器官に溜まっているカルシウムイオンが、脳からの電気的な指令を受けると放出され、それに筋原線維が反応することで筋肉の収縮が起こります。反対に、筋原線維の中に放出されたカルシウムイオンが、再び筋小胞体の中に入ることで筋弛緩(きんしかん)が起こります。カルシウムイオンを出したり取り込んだりという動きが、まさしく筋肉が動くという仕組みそのものなのです。筋運動を画像化心臓の動きや、消化器、血管の運動もまた同じような仕組みで、すべてカルシウムイオンをきっかけに反応が起こっています。カルシウムイオンの動きを探る研究手法として、主に動物を用いた「In Vivo」実験があります。「In Vivo」というのは「生体内」という意味です。これまでの多くの研究では採取した筋肉組織をシャーレの上に置いて見る「In Vitro」実験が多かったのですが、「In Vivo」だと生きたまま観察することができます。バイオイメージング、つまり生体にいろいろな波長の光を当てることで画像化するので、カルシウムイオンの濃度変化をリアルタイムで観察することができるのです。解明したい筋肉成長のメカニズム筋肉の収縮や弛緩だけでなく、筋肉の成長や損傷にもカルシウムイオンが関係していることがわかっています。その理由を解明するためには、細胞内のカルシウムイオンの変動を長期間生体内で観察できるかが課題です。 例えば寝たきりの人の場合、体が動かせないために筋力が衰え、ますます病気が長引いてしまいます。しかし細胞内のカルシウムイオンの制御方法がわかれば、筋力トレーニングをしなくても筋肉の量を維持したり増やしたりできる細胞環境が作り出せるため、健康寿命を延ばすことができるようになるでしょう。先生からのメッセージ
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