佐賀大学 理工学部理工学科 数理・情報部門 准教授 日比野 雄嗣 先生
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30分のミニ講義を聴講しよう!独立と中心極限定理
独立な試行の繰り返し回数を大きくしていくと、どんな試行でもガウス分布と呼ばれる分布に近づくことが知られています。これを「中心極限定理」といいます。「量子確率論」ではこの独立性を抽象的に拡張し、独立性毎に異なる分布に収束することが示されます。
確率とグラフ
中心極限定理
中心極限定理を応用すると
独立と中心極限定理
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう順列・組み合わせより微分積分が得意な人の方が確率論に向いています
確率=積分!?確率と聞くと順列・組み合わせを連想する人も多いと思います。「確率が苦手です。微分積分なら得意だけど……」という声もよく聞きます。しかし、確率は積分なので、確率論は微分積分学の先にある解析学の一分野なのです。確率論の研究者は、順列・組み合わせを使った研究ではなく、積分を研究しているのです。あなたが微分積分が得意なら、確率論の研究をするのに向いているかもしれません。すべての分布の中心に位置する分布サイコロ投げやコイン投げなどの試行を繰り返し行うとき、その結果の合計はいろいろな値を取りますが、出やすい値や出にくい値があるのは当然です。それぞれの値とその確率を対応させたものを分布といいますが、もちろん、サイコロの場合とコインの場合とではそれらの分布は異なります。しかし、試行の繰り返し回数を大きくしていくと、それらはすべてガウス分布(正規分布)と呼ばれる一つの分布に近づいていくことが知られています。サイコロやコインだけではなく身長でもセンター試験の点数でも、あらゆるデータが、個数が多くなればガウス分布で近似できるのです。このことを「中心極限定理」と呼びます。無限にたくさんあるあらゆる分布たちの中で、ガウス分布はそれらの中心に位置する重要な分布であると言えます。抽象的に更なる発展へ中心極限定理のポイントは各試行の独立性です。これは普通の確率論では、1個目のサイコロと2個目のサイコロが無関係という意味ですが、現代数学には、この概念を抽象的に拡張した量子確率論という分野があります。量子確率論においては、もはやXY≠YXであり、独立の概念も抽象的に定義されています。そして、複数の種類の独立性が定義され、「○○独立ならば極限分布が○○分布であり、△△独立ならば極限分布が△△分布である」という量子中心極限定理が証明されています。ちなみに、この証明には順列・組み合わせが主に使われています。あなたが順列・組み合わせが得意なら、量子確率論の研究をするのに向いているかもしれません。先生からのメッセージ
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