京都工芸繊維大学 工芸科学部 応用生物学域応用生物学課程 教授 井沢 真吾 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!微生物が支える豊かな食文化と健康長寿社会
腸内細菌叢(腸内フローラ)や腸管免疫系への影響を中心に、麹菌や乳酸菌などの有用微生物(プロバイオティクス)を使った発酵食品が健康長寿社会の構築に果たす役割を紹介します。また、酵母を用いた基礎および応用研究についても紹介します。
健康に欠かせないプロバイオティクスとは?
痩せる人と太る人は腸の菌が違う?!
健康は腸と細菌から
微生物が支える豊かな食文化と健康長寿社会
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう健康や食文化を支える微生物の驚くべき力!
あなたは微生物と共に生きている自分の体に「腸内細菌」という微生物が生息していることは知っているでしょう。ヒトの細胞数はおよそ60兆、遺伝子数は約2万2000です。一方、腸内細菌の細胞数は数百兆、遺伝子数は約330万で、ヒトの細胞よりも多い菌が腸にすんでいるのです。腸内細菌は、人間では作り出せない物質を作ることで、病気を防いだり、免疫力を高めたりして、あなたの健康を支えており、体質や心理状態にも深く関与していることが最近わかってきました。人間は、さまざまな微生物を体内に宿し、共生しながら生きている「超有機体」と考えられる時代になってきているのです。微生物の「発酵」の力が生活を豊かに微生物が持つ力は、あなたの身近な生活にも生かされています。例えば、日本の伝統食品である味噌・醤油、納豆や漬け物をはじめ、ヨーグルトやパン、お酒なども微生物によって作られています。微生物は、細胞内に核膜で包まれた核を持たない「原核生物」と、核膜に包まれた核を持つ「真核生物」に大別されます。納豆菌や乳酸菌などは原核生物です。一方、酵母や麹菌は真核生物で、味噌や日本酒などの製造に用いられます。これらの微生物がおこなう「発酵」の力によってさまざまな有用物質が生成され、食品としてあなたの体内に取り込むことができるのです。微生物を発見し、解明して、活用する微生物は自然界のあらゆるところに存在します。近代納豆製法の基礎は、納豆菌を単離し純粋培養した研究者によって確立されました。薬品原料などの有用物質を作る微生物も毎年数多く発見されています。また、農作物に被害を与えるイノシシなどをおいしく発酵して、ご当地グルメなどに用いた町おこしの取り組みもあります。一方、真核生物である酵母の生理メカニズムを解明することは、ヒトの細胞と生命の探究にもつながります。応用微生物学やバイオテクノロジーは、今後も大発見が期待される研究分野と言えるのです。先生からのメッセージ
- このTALKも見てみようは英語字幕あり