長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部フロンティアバイオサイエンス学科 教授 蔡 晃植 先生
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30分のミニ講義を聴講しよう!植物は世界を救う! ~植物バイオサイエンスの挑戦~
植物科学が食糧不足、温暖化、砂漠化、環境汚染などの地球規模の問題解決に大きく寄与していることをご存じですか。現代のゲノム編集、人工知能、ビッグデータサイエンスなどによるサイエンスイノベーションが植物科学の未来を大きく広げました。
この学問には感動やワクワクがありますか?
人生の分岐路で、この学問と他の何かで迷われたことはありますか?
この学問について最新のトピックスはありますか?
植物は世界を救う! ~植物バイオサイエンスの挑戦~
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう「フラジェリン」を察知せよ 植物にも免疫システムがあった!
環境変動から逃げられない植物がとる対応とは植物は自発的に移動することができません。それは周囲の温度や光、湿度、病原菌の存在など、環境の変動に対して逃げるという選択肢がないということを意味します。しかし近年、植物には環境変動の情報を素早く取り入れ、それに自分の体を適応させる能力があることがわかってきました。 では、環境変動を認識しその情報を伝えるシステムとはどのようなものなのでしょうか? 解明のきっかけになったのは、植物の外部環境情報の中から「病原菌」に注目した日本の研究チームの発見でした。植物にも免疫システムがあった!免疫反応を起こすには、病原菌を認識しなければなりません。植物がそれを認識する鍵は、病原菌のしっぽのような器官・鞭毛(べんもう)を構成する「フラジェリン」というタンパク質です。植物はフラジェリンのある部位を特異的に認識することで「病原菌がきた!」と感知し、免疫反応を起こすのです。それまで免疫は動物だけのものと言われてきましたが、この発見により植物にも免疫システムがあることがわかり、大きくクローズアップされることになりました。 さらに近年、フラジェリンを認識する部位が植物の種類によって違うということも判明し、2018年3月時点で3カ所が確認されています。これは、病原菌側が植物に「感知されまい」として、すでに知られているフラジェリンの部位の構造を変化させた一方で、植物側もフラジェリンの違う部位で菌を認識するように進化したためと考えられています。分子の言葉で読み解くことで応用研究にもこのように、植物の環境変動に対する多様な対応を、遺伝子や分子の言葉で読み解く基礎研究が、バイオサイエンスの世界では活発に展開されています。こうした研究の成果により、例えば、病原菌を認識しなくても自らワクチンを作って免疫を発現するような植物が作り出せるかもしれません。それはつまり、農薬を必要としない農作物を作り出すといった応用研究にまで広がっていく可能性があるのです。先生からのメッセージ
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