山梨大学 生命環境学部地域食物科学科 教授 柳田 藤寿 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!武田信玄もビックリ! 幻のワイン開発
近年、日本ワインがブームで、世界初の「海洋酵母ワイン」も開発されました。幻の湖、富士六湖(赤池)から分離した酵母を用いた「幻のワイン」や、ワイン酵母を用いた「大豆でつくった飲むヨーグルト」などの開発研究についてお話しします。
海洋酵母ワインができるまで
まぼろしの湖からワインを造る
ワインをつくる酵母を見つける
武田信玄もビックリ! 幻のワイン開発
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう幻の湖や海で発見した酵母でワインができる! スーパー酵母を探せ!
ワインをつくる酵母が海で採れる?酵母とは、糖を発酵させてアルコールに変える働きをする菌類で、その多くは果実や樹液など糖分の多い場所に生息しています。その酵母がなんと海水中から発見されたのです。 ある製薬会社が医薬品の開発のために、海洋環境から分離・培養に成功した酵母およそ800種類を詳細に調べたところ、13種類の酵母は、「ワイン酵母として使えるかも!」ということが判明し、この酵母と山梨県産甲州種のブドウを組み合わせて醸造試験を行ったところ、世界で初めて海洋酵母ワインの醸造に成功しました。このワインは、バラの花のような芳醇な香りと、酸味(リンゴ酸やコハク酸)のバランスのとれた味わいが特徴で、ヒット商品として発売が続いています。幻の湖からワイン酵母を発見!一般には「富士五湖」として知られる富士山麓にある湖ですが、実は降雨量の多いときだけ現れる、幻の湖「赤池」(富士六湖)があります。2011年に出現した「赤池」から採取した水を調べると、ワイン作りに使えそうな発酵性酵母が存在することがわかりました。 実際にワイン作りの酵母として使えるかどうかを、発酵試験や小規模試験醸造などで調べた結果、すでに世の中に出回っている優良ワイン酵母と同じくらい、ワインを作る能力が高く、できたワインは香りや風味もいいことが判明しました。この幻の湖からの酵母を使ったワインも市販されることになりました。微生物資源「スーパー酵母・乳酸菌」を求めてこうした酵母などの微生物が眠っているのは、海や湖だけではありません。まだ存在が知られていない、薬や食品に姿を変えて人を助けることのできる微生物(酵母や乳酸菌など)は、世界中に人知れず棲息しているはずです。例えば、外国で採れた乳酸菌で、現地生産のヨーグルトを作る研究も進められています。 発酵微生物工学では、「微生物ハンター」のごとく、人を助ける「スーパー酵母」「スーパー乳酸菌」を探し続けているのです。先生からのメッセージ
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