徳島大学 医学部医学科 疾患病理学分野 教授 常山 幸一 先生
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30分のミニ講義を聴講しよう!形の違いで病気を診る
病理学は形態学を中心とする学問体系で、形の違いを肉眼的、顕微鏡的に正しく観察することが基本です。講義ライブでは見えるものを正確に見る方法と、見えないものも何とか見えるようにする工夫、そして見えたものを総合的に評価して伝達する方法を学びます。
最終診断である「病理診断」
病理診断はどのように進められているの?
「光」を用いて病理診断を行いたい!
形の違いで病気を診る
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみようあらゆる角度から病気を「見る」! 医療現場を支える病理学とは
形態から病気を判断する病理学病理学とは、病気の原因とメカニズムを解き明かす学問です。例えば内視鏡で観察したり、手術で切除された腫瘍を見たりして、良性の腫瘍なのか、がんなど悪性のものなのかを判断するために役立てられる学問、というイメージです。見ること自体は誰もができる行為ですが、病理学で求められるのは「対象を過不足なくきちんと見る」「目的に合わせた観察を行う」「見えていないものを見えるようにする」といった専門性の高い「見る」能力です。同時に、内臓や皮膚、血液など、あらゆる分野の病気を対象とするため、幅広い領域の医学的知識が求められます。「観察と分類」に加えて病理学の原点は「形態」をよく観察し、見た目から病気や症状を分類することですが、医学の進歩にしたがって、そこに免疫染色という技術が加わりました。これは、病原性のウイルスや細菌などの外来性の物質や、がん細胞を含む生体のあらゆる細胞が有している「抗原」と、タンパク質の一種の「抗体」が、特定の条件下で結び付くことを利用して、がん細胞の特徴を調べたり、外来性の物質を特定するなど、機能面から病気を分類する技術です。 また、遺伝子の解析が進み、遺伝子レベルでのより精緻な分類が可能になりました。医療技術は日々進歩していますが、最新の技術を使うべきかどうかといった判断にも、病理学の知見が役立てられています。さらに近年では、光を使って病気を分類する研究が進められています。生体組織に光を照射して生じさせる「ラマン散乱光」という微弱な光を利用して、細胞からこれまで見えなかった情報を引き出す研究です。人材不足に悩む日本の病理医病理学の知見をベースに、医療機関で働く医師を病理医といいます。日本では認知度が低く、数も不足していますが、欧米では外科医とほとんど同数の病理医が活躍し、高い評価や報酬を得ています。その分、大きな責任もともないますが、あらゆる分野の専門医と連携し、診断や治療に深く関わる奥深さと、研究の意義に満ちた医療領域といえるでしょう。先生からのメッセージ
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