広島大学 総合科学部総合科学科 准教授 進矢 正宏 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!スポーツ科学:ヒトの運動をはかる
一流アスリートや芸術家の華麗な動き、歩く・手を伸ばすといった何気ない日常動作、これらは神経系が筋肉を動かすことによって実現されています。スポーツバイオメカニクスという分野では、運動を客観的に測り、どのように制御されているのかを研究します。
自分の運動の客観視
特撮と物理学
運動制御という分野
スポーツ科学:ヒトの運動をはかる
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみようスポーツで技術指導が難しいのは、動作メカニズムが複雑だから
スポーツで動作を上手くする科学的な方法とは?スポーツをしたことがある人なら、私も〇〇選手のように速く走りたい、ホームランが打ちたい、シュートを決めたい、といったことを考えるでしょう。では、どのように体を動かせばよいか、専門的に言うと、どうすれば効果的に動作技術を習得できるのでしょうか。今日のスポーツ科学では、動作技術の習得に関しては、筋力・持久力・心肺能力などの基礎体力とは異なり、こうすれば上手くなれる、という科学的に確立された方法は、残念ながらありません。動作技術の習得が困難な理由これには理由があります。まず、人間には数多くの筋肉があって、それらが合理的に組み合わさることで「動き」が作られます。すなわち、制御対象としての体が複雑です。次に、体を制御する神経系も、複数の層構造や非常に多くのニューロンが関与しています。すなわち、制御する主体である脳・神経系も複雑です。 そのため、例えば野球の投手で言うと、コントロールをよくするため・速い球を投げるための理想的なフォームはわかりませんし、あるフォームを実現するための理想的な筋肉の動かし方も組み合わせも、それを実現するための神経活動もわかりません。ましてや、練習を通してどのように学習・習得されていくのか、となると謎だらけです。動作技術習得に関する原理を探る一流スポーツ選手や芸術家のような、明らかに優れた華麗な動作だけではなく、水の入ったグラスをとる・障害物を越えて歩く、といった簡単そうに思える日常生活ですら、制御の全体像を把握することは極めて困難です。ヒトの動作メカニズムはとても複雑なのです。しかし、破綻なく行動できているということは、そこに何か明確な原理があるはずです。それを見つけることは、人間の身体の理解をより深めることになるのです。このような理解は、スポーツ動作技術の効果的なトレーニング方法の開発だけではなく、ロボティクスやリハビリテーション科学といったさまざまな分野にとって、重要な基礎となるのです。先生からのメッセージ
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