筑波技術大学 保健科学部保健学科 教授 三浦 美佐 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!重複障がいのための新たなリハビリ
近年、骨関節疾患だけではなく、腎疾患や心疾患、および視覚・聴覚など重複した障がいがある方に対する、安全で効果的なリハビリのニーズが高まっています。講義ライブでは、リハビリの効果を予防から障がい者支援の実際まで、わかりやすく紹介します。
運動は万病の薬
寝たきりでも運動できる?
電気刺激と運動はどちらがいい?
重複障がいのための新たなリハビリ
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう「重複障がい」に対応した新たなリハビリテーションのあり方
増えつつある重複障がい医学の進歩により、平均寿命が延び、昔は死亡率が高かった病気でも生存率が上がるようになりました。それにともない、高齢化が進み、複数の障がいのある「重複(ちょうふく)障がい」の人が増えています。例えば、糖尿病にかかると、血液の流れが悪くなる末梢循環障がいという症状が出て、視覚障がいや内臓機能の障がいを併発することがあります。このような生活習慣病からくる重複障がいに対しては、リハビリテーションにおいても新たな方法が必要とされます。テクノロジーの進歩が生む新たなリハビリ理学療法をはじめとするリハビリテーションは、以前は運動障がいを改善するというイメージの強いものでした。しかし、重複障がいのある人は、運動障がいに加えて、心機能障がいや腎機能障がい、視覚・聴覚障がいなどがある場合が少なくありません。そこで、機能回復だけではなく、悪化の予防をも包括した、安全で効果的なリハビリが求められます。 例えば重複障がい者では、通常の歩行訓練ができないケースがあります。これまで、立って歩けない人は、プールに行き水中で歩行訓練をするしかありませんでしたが、現在では、ベッドに寝た姿勢のままこげる自転車や、風船の中に入るような形で歩行訓練ができる空圧免荷(めんか)歩行器などが開発されています。人が輝くためのリハビリ理学療法の分野では、機械を使うリハビリテーションにどのような効果があるかを検証するのも、大事な研究です。運動療法が難しい人には、電気や超音波などで刺激を与えることで、筋力などの衰えを防ぐ方法も研究されており、これなら、寝たきりの人に対してもリハビリが行えるようになります。筋力の衰えを防いだり、関節の可動域を広げたりすることで、その人の活動範囲が広がり、それが「QOL(生活の質)」の向上につながるのです。 障がいとは、その人の個性であるからこそ、さまざまな個性に対応し、「その人が輝いて、元気になるため」のリハビリが期待されています。先生からのメッセージ
- このTALKも見てみようは英語字幕あり