福岡大学 薬学部薬学科 教授 江川 孝 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!放射線災害に対する適切な対応とは
福島第一原発の事故で問題になったのが風評被害です。「放射線=怖い」というイメージがネットやメディアで増幅されました。放射線自体は福島に限らずどこでも存在し、私たちは食品中のカリウムや空気中のラドンなどから日常的に放射線を受けているのです。
この学問を究めるのに向いているのはどんな人ですか?
この学問には感動やワクワクがありますか?
この学問について最新のトピックスはありますか?
放射線災害に対する適切な対応とは
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう正しい知識を広めるという薬剤師のもう1つの重要な役割
科学的に正しい医療知識を広めるという役割薬剤師というと薬の相談を受けたり、病院で処方された薬を調合したりする仕事だと思っている人が多いでしょう。しかし、正しい医療知識を一般の人に身につけてもらうという役割もあります。世の中には意外と多くの間違った医療知識や科学知識が流布していて、それを信じて誤った行動をしてしまう人がいます。それを未然に防ぐのも薬剤師の重要な役割なのです。そして、特にそのような活動を求められるのが災害医療です。福島第一原発の風評被害の原因例えば、福島第一原発の事故で問題になったのが風評被害です。「放射線=怖い、死」というイメージがネットやメディアで増幅されました。その結果、福島の農作物や魚が売れないなど経済的損失が広がり、避難者に対するいじめも起きました。これは、放射線に対する間違った認識によるものです。同じことは、新型コロナウイルス感染症でも言えます。見えないものに対する恐怖や偏見が差別を助長し、医療の混乱を招いています。医療分野ではエックス線など放射線を放出する医療機器が使用されています。そして、私たちは食品中のカリウムや空気中のラドンなどから日常的に放射線を受けています。放射線で健康被害が起こるには、自然被曝よりはるかに高い放射線量が必要なのです。もちろん、福島でも原子炉周辺を除けば、被曝による危険性はないことが科学的に検証されています。重みがある医療専門家としての薬剤師の言葉福島第一原発事故の後、住民に対する不安を払拭するために、原発から20km圏内の一時帰宅者に対して汚染モニタリング検査が行われました。そこで活躍したのが、放射性医薬品を取り扱うことができる薬剤師が参加した救護チームでした。食品や飲料水などさまざまな対象に対してスクリーニング検査を行い、放射線について科学的・客観的な情報を提供しました。 放射線の理解で重要なのは、「正しく怖がる」ことです。そのような理解を得るには、科学者であり、医療の専門家である薬剤師の言葉が必要なのです。先生からのメッセージ
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