東京科学大学 医歯学系(旧・東京医科歯科大学) 歯学部口腔保健学科 口腔保健工学専攻 教授 青木 和広 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!注射で骨を作る 理工学と生物学の融合研究
歯科学は、理工学と生物学との融合研究により発展してきました。歯科医療の現場では、歯や入れ歯を支えるために骨を作りたい場所が多くあります。注射できる材料を理工学研究者から提供を受け、骨を作る細胞を引き寄せ数を増やし、骨を作る研究を紹介します。
歯における骨の重要性とは?
注射で骨をふやせるの!?
骨疾患に対する現在の治療薬
注射で骨を作る 理工学と生物学の融合研究
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう口の中から全身を健康に! 「口腔基礎工学」の果たす役割とは
医科と歯科に役立つ「口腔基礎工学」最近では、口の中の細菌が全身の病気に関係していることがわかってきました。口の中の細菌やその毒素が全身を回って、慢性炎症を起こし、さまざまな病気の原因となっている可能性があるのです。歯科の治療は虫歯だけでなく、体全体の医療にも関わっています。「口腔基礎工学」とは、生物系と工学系の分野を融合した、歯科と医科の両方に役立つものづくりをめざす、比較的新しい分野の学問です。歯をコーティングすれば全身が健康に例えばインフルエンザは、歯を磨いたり口をゆすぐなど、口の中をきれいにする口腔ケアの指導をしている学校とそうでないところでは、明らかに罹患(りかん)率が違います。口の中に細菌が多いと、ウイルスが増殖する原因になるのです。 そこで、歯に細菌がつきにくくするようなコーティング剤の研究開発を始めました。歯のコーティングは、ただ虫歯や歯周病になりにくいだけではなく、全身の健康を維持し、病気を予防することにもつながると期待されています。骨の再生で歯科医療が進む歯医者で必要な治療は、あごの骨が足りないとうまくいかないことが多くあります。入れ歯を入れるにしても、あごの骨が薄い場合は、入れ歯が動いて安定しません。また、インプラント(人工歯根)の治療をする場合にも、骨が足りなくて治療そのものができなかったり、神経にさわってしまったりということがあります。そういうときには、骨を増やす手術が有効です。しかし手術では、横の幅はある程度広げられても、高さを作ることはなかなかできません。 そこで、骨が欲しいところに「BMP」という骨形成因子を注射で打って、骨を作るという方法が開発されています。これだけで高さを作ることは難しいので、OP3-4というペプチドといっしょに混ぜて打ち込むと、垂直に骨ができます。この方法はまだ実験段階ですが、研究を進めていけば、いずれ実用化できるでしょう。また、この研究が進むことによって、全身の骨の再生に応用できる可能性も期待されています。先生からのメッセージ
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