京都教育大学 教育学部教育学科 教授 田爪 宏二 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!心理学で考える記憶の仕組み
単語や公式はなかなか覚えられないのに、好きな歌手の歌詞は忘れられないのはなぜなのでしょう? このように私たちの学習や生活とも関連の深い記憶の仕組みやその不思議について、簡単な実験も取り入れながら、心理学の立場から迫ってみたいと思います。
潜在記憶でパズルを解く
記憶にとって大事なこととは?
知識が記憶を間違わせることもある
心理学で考える記憶の仕組み
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう記憶や学習の仕組みと子どもの世界の不思議を心理学から探究する
頭の働き≒心の働き?人間の心を研究する学問である心理学は、心の悩みやカウンセリングのイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。私たちが考えたり、計算したり、覚えたりといった頭の中(脳)で行っていることを心の働きとしてとらえ、その特徴を実験によって明らかにする「認知心理学」という分野があります。認知心理学で研究する心のメカニズムは、日常生活はもちろんのこと、学校の学習場面とも大いに関係しています。大人と子どもは文化が違う?大人と子どもでは、思考や記憶の特徴が異なります。ただし、子どもは大人よりもただ単に幼いのではなく、大人とは違ったものの見方、考え方をする、いわば「異なる文化の人」ということができます。心理学の中で、このような子どもの特徴や成長による変化を研究するのが「発達心理学」です。例えば、子どもの思考や記憶は映像的で、大事なものよりも「目立つもの」を優先し、見かけに影響されやすいという傾向があります。しかし、文字がすらすらと読めるようになる9歳頃から、思考や記憶の中心が映像から言葉に入れ替わり、それとともに、次第に目立つものよりも「大事なもの」という、論理的な考えができるようになっていくのです。心理学を教育に生かす思考や記憶の特徴には、さまざまな個性や個人差があります。例えば勉強では、耳で聞いた方が覚えやすい人と目で見た方が覚えやすい人、文字の方がよく理解できる人と図に表した方がよく理解できる人、物事を順番に考えた方が整理できる人と全部を一度に見て関係を考えた方が整理できる人、などさまざまな個性があって、ほかの人と同じやり方ではできないけれども、やり方を変えればよくできる、ということも多いのです。このように心理学を学習や教育に応用する学問が「教育心理学」です。子どもが自分のクセに気づき、また学校の教師もそれぞれの子どもの個性を理解しながら授業を行うことで、子どもの勉強に対する苦手意識を減らし、力を伸ばすことができるのです。先生からのメッセージ
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