北海道大学 文学部人文科学科 教授 加藤 重広 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!日本語に関する誤解とやさしい言語学
日本語の変化と「間違っている」日本語についてお話しします。ことばを科学的に研究する学問である言語学は変化や逸脱をどのようにとらえるのか、言語学の基礎知識からわたしたちが普段用いることばについてどんなことがわかるのか一緒に考えましょう。
正しい日本語は誰が決めている?
言語管理と新しい言葉
言語学は言葉とどう接するか
日本語に関する誤解とやさしい言語学
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう日常生活の中のふとした疑問から言語を科学する
ことばにしないコミュニケーション「空気を読む」という表現は、今やすっかり定着しています。これは他者の意思がはっきりとことばに表されていなくても、その「場」や「状況」から必要な推論をして適切な行動や発言をすることを意味します。現代の日本では「空気が読める」ことが重視されますが、一方でそのように推論を利用するやりとりは高度なコミュニケーション技術でもあり、うまくできないという人もいます。何かを頼むとき、「~できますか?」という疑問文を使うことがよくありますが、真意は「~してもらいたい」という依頼です。このようなやりとりの背後にある伝達や解釈の仕組みを研究するのが言語学の中の語用論という分野で、文脈からわかる意味を「推意(すいい)」と呼びます。言語を科学する「言語学」言語学は、ことばそのものを分析する、言語の科学です。そして、ことばの使われ方や伝達の実態を調べて解明していくのが語用論です。ある言い方で理解にずれや誤解が生まれるのはなぜか、社会や文化の変化につれてことばの使われ方がどう変わってきたのか、などことばにまつわるさまざまなことを研究します。前述の推意をはじめ、人が発話を伝え、理解する方法を科学的に分析することで、より人間的なことばへのアプローチが可能になるのです。 私たちが普段何気なく使っている表現も、以前は使い方や意味が異なっていたり、そもそも存在していなかったりすることもあります。特に最近はテクノロジーとともに新しいことばが生まれています。Twitterでの「なう」もその一例です。研究のテーマやヒントは無尽蔵言語学や語用論の面白さは、自分たちが日常的に使っていることばの中に、新たな規則性や論理性を見つけられることにあります。研究のテーマは日常生活の中のふとした疑問から始まります。研究テーマが尽きることはありません。言語の科学と言うと無機質に聞こえますが、人のコミュニケーションに欠かせないことばの研究は、実は人間的な学問なのです。先生からのメッセージ
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