神戸学院大学 心理学部 心理学科 教授 小久保 香江 先生

30分のミニ講義を聴講しよう!
脳と「こころ」の関係~脳損傷の例から学ぶ
脳損傷患者さんの観察から脳と「こころ」の関係について考えます。脳が損傷されると、記憶、言語など認知機能の障がいが起こります。心理検査を用いた障がいの評価、脳損傷部位と症状の関係、発現メカニズム、リハビリテーションについてお話しします。
先生からのメッセージ
脳の病気は身近です。厚生労働省のデータによれば、日本人の死因で脳血管疾患は上位を占めています。神経心理学は、脳損傷の患者さんを通して、脳と「こころ」の関係を研究する学問です。
心理職の国家資格として、「公認心理師」が誕生することになりました。神経心理学の知識をもった人材が、活躍できるフィールドはますます増えていくでしょう。現在、神経心理学を専門的に学べる心理学部は多くありません。ぜひ神経心理学を含め幅広い心理学が学べる本学にトライしてください。
先生がめざすSDGs
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脳損傷の患者さんの「こころ」のリハビリを行う心理士の仕事とは
「こころ」と脳との関係をみる神経心理学
心理学には幅広い分野があり、その中でも脳に損傷がある患者さんから「こころ」と脳の関係について考えるのが神経心理学です。「こころ」を「知・情・意」という3つの作用の集合とまとめる考え方があります。「情」は感情を表し、「知」は認知を表し、「意」は意思を表します。「こころ」はとても広い意味をもつ言葉なのです。では、「こころ」は体のどこにあるのでしょうか? 「こころ」は脳が生み出す現象です。神経心理学では、脳に損傷がある患者さんの観察を通して「こころ」と脳の関係や、「こころ」の仕組みについて考えています。
脳が傷つくと「こころ」に変化が起こる
脳が傷つくと、「こころ」に変化が生じます。例えば、感情の起伏が激しくなったり、注意が散漫になったり、出来事を思い出せなくなったり、言いたい言葉が出てこなくなったり、よく知っている道具が使えなくなったり、左側の空間に気づかなくなったり、目的をもった行動がとれなくなったりします。これらの「こころ」の変化(症状)は、骨折のように外から見えません。患者さんの外見は、脳に損傷をうける前と変わりありませんが、ひとたび行動しようとすると、さまざまな困難が生じます。
リハビリに寄り添う心理士
脳の損傷によって生じる症状は、個人差が大きく、脳の同じ場所に傷があっても全く同じ症状が出るとは限りません。また、症状は揺れやすく、失語症では、ついさっき言えた言葉が出てこないことがあります。脳の病気のリハビリ病院で働く心理士は、患者さんの症状を行動観察や神経心理検査を用いて評価し、多職種とチームになって、リハビリをサポートします。超高齢化にともない、脳卒中や認知症の患者数は増えていくと予想されます。神経心理学の知識をもった心理士が、臨床現場で活躍できるフィールドはますます増えていくでしょう。
先生からのメッセージ
脳の病気は身近です。厚生労働省のデータによれば、日本人の死因で脳血管疾患は上位を占めています。神経心理学は、脳損傷の患者さんを通して、脳と「こころ」の関係を研究する学問です。
心理職の国家資格として、「公認心理師」が誕生することになりました。神経心理学の知識をもった人材が、活躍できるフィールドはますます増えていくでしょう。現在、神経心理学を専門的に学べる心理学部は多くありません。ぜひ神経心理学を含め幅広い心理学が学べる本学にトライしてください。
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