神戸大学 文学部人文学科 国文学専修 准教授 梶尾 文武 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!戦争と「人間」~日本の戦後文学を読む~
私たちが現在享受していると信じられている平和な日常と「人間」らしい生活は、戦争や自然災害といったさまざまな厄災を裏面に抱え込みながら成り立つ、壊れやすいものです。人間が人間でなくなる体験としての戦争を、文学の言葉からとらえ直します。
戦後リベラリズムの思想
戦争の加害者としての傷
核時代の想像力とは・・・?
戦争と「人間」~日本の戦後文学を読む~
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう文学作品研究を通して多様な人間観に触れ、寛容性を養う
他者を知り寛容性を育む文学作品研究文学作品の研究とは、私たちが生きている現在の文化や経験とは異なった文化に触れることです。過去の文学作品と向き合うことで、今とは異なる文化を知ることができます。 文化とはなんでしょう。一つには価値観があります。例えば、何を美しいと感じたのか、美的な体験とは何だったのかということを作品の中に探っていきます。それが他者を知ることにつながります。自分だけの世界は狭く限られたものですが、自分が経験していないものを研究することで寛容性が養われます。自分が知らないものがあるという想像ができることを、教養と呼びます。教養は、生きていく上での力となるのです。議論しながら掘り下げる例えば、三島由紀夫をはじめとした昭和初期のロマン主義文学は、高校の現代文の教科書にも採用されています。正しく読むことが大前提で、言葉に潜んでいる意味や文脈を丁寧に掘り起こしていくことが、文学作品研究の初歩的なアプローチです。しかし、文学作品研究においては、国語のテストのように答えが一つではありません。読み手によって解釈は多様ですから、異なる意見を議論しながら突き詰めていくことが作品研究には求められます。議論しながら作品を掘り下げていくことで、作品の理解が深まります。心理学、哲学、社会学も総動員文学作品と向き合うとき、新聞や雑誌をはじめとした資料にあたって、その作品が書かれた時代の歴史を知ることも必要です。登場人物の心情を読み込むには心理学の素養も求められますし、思想を理解するには哲学や社会学などの知識も総動員することが必要です。 中国、アジア、そして欧米の国々にも日本文学の研究者がいます。日本文学研究は日本だけの閉じた世界ではないのです。日本人の研究者が背景を重視するのに対し、海外の日本文学研究者は、より深く人間の問題を掘り下げる特徴があり、お互い良い刺激になっているのです。先生からのメッセージ
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