大阪公立大学 経済学部経済学科 准教授 鹿野 繁樹 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!計量経済学で考える統計的エビデンス
医療や生命科学などの理系分野だけでなく、ビジネスの現場でも、データ分析と統計的なエビデンス(根拠)が求められる時代となりました。この講義ライブでは、統計的エビデンスとは何か、そしてその難しさはどこにあるのかを、計量経済学の観点から考えます。
様々な分野で使われるプログラム評価
正確にデータを比較するには?
難民の押し寄せで失業率が上がるは本当?
計量経済学で考える統計的エビデンス
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみようデータ分析のテクニックをビジネスや社会問題に役立てる計量経済学
理論をデータ分析で補う計量経済学経済学にはマクロ経済学やミクロ経済学と呼ばれる領域があり、さらに多様な応用分野に分かれています。計量経済学は、こうした経済学の中で使われる理論を、データ分析により実証することを目的に始まった学問です。データを扱うことから統計学と混同されやすい計量経済学ですが、よりコンディションの悪いデータを分析する点が特徴です。 例えば失業率5%というデータがある場合、失業者の流動性や失業している期間を調べることで、5%という数字に表れない実態が見えてきます。このように、計量経済学では統計学のテクニックを改良したり、部分的に見えなくなっているところを経済理論で補ったりしながら推測を行います。ミクロ計量経済学を社会分析に応用するその成り立ちから、「経済学のための経済学」という側面がある計量経済学ですが、近年では研究のためのデータ分析のテクニックが、現実の社会分析に応用されるようになりました。中でも、個人や企業の意思決定にフォーカスした分析が行われているミクロ計量経済学は、労働や医療、教育分野の研究に応用されることが多くあります。例えばアメリカのテネシー州では、少人数制教育の効果を検証するために社会実験が行われ、そこではミクロ計量経済学の手法が重要な役割を担いました。地域や企業、個人が抱える問題を、より検証しやすい学問といえるでしょう。活躍する計量経済学者たちほかにも、景気循環や経済予測などを扱うマクロ計量や、株価や為替などを扱う計量時系列分析など、計量経済学はさまざまに分派しながら発達してきました。日本国内でも研究インフラの整備が進み、取り扱えるデータが増えるなど、研究が活発になっています。また、アメリカのアマゾンやグーグルなどは、ビッグデータ分析などを目的に、計量経済学者を社内エコノミストとして雇用しています。計量経済学の素養を身につけ、論文やリポートに書かれているデータを読解できる人材は、世界中のビジネスシーンで必要とされているのです。先生からのメッセージ
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