30分のミニ講義を聴講しよう! 凸解析 「へこみのない形」の理論
へこみのない形のことを凸集合といいます。交わらない凸集合が二つあったとき、それらを分ける直線(あるいは平面)があります。図で描くと直感的にわかるこの性質から、驚くような(手品のような?)結果が得られます。一緒に講義ライブを楽しみましょう!
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう 数学でさまざまなコトを解析して社会に役立てる~凸解析と最適化~

凸解析においては、「双対性(そうついせい)」と呼ばれる性質が多く発見されています。例えば下に凸な関数には、ペアとなる下に凸な関数があって、これらは表裏一体の関係になっています。 数学で社会的課題を解決する 個人や組織が一番良い状態を見つけるために、「最適化」を行います。例えば運送会社による配送計画や、飛行機の運航スケジュールなどは、どのようにするかで総価格が変わります。このような状況を数学的に記述したものが最適化問題であり、これを解くことでさまざまな課題を解決できます。ある航空会社では、年間1千万ドルの経費を削減しました。このような最適化問題にも双対性があります。下に凸な関数を用いて記述された最適化問題には、ペアとなる最適化問題が存在しています。表と裏が並列して存在するのです。
また、最適化は1個人や1企業の行動ですが、2人以上が同時に行動したときには複雑になる場合があります。この状況の研究は「ゲーム理論」と呼ばれます。例えば、少子高齢化は、市民と行政のゲーム理論で説明することができます。このように解決が難しいような課題でも、数学を使って状況を分析し、的確な対応を行えば、十分な効果が得られると考えられています。 新しい枠組み「集合値最適化」への挑戦 人のステータスは数値で表されます。すなわち、すべての人はグラフ上の点として表現できます。点が集まると、クラスや組織などの集団となります。そこで、集団同士の比較を定式化し、最も良い集合を見つけるための新しい枠組みが「集合値最適化」です。この枠組みを活用し、より良い集団を作るためのヒントを得る研究も進んでいます。
島根大学
総合理工学部 数理科学科
教授 黒岩 大史 先生