福岡大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科/健康運動科学科 教授 上原 吉就 先生

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科学的にスポーツを考えよう 注目される効果
激しい練習ほど運動効果があがると考えがちですが、そんなことはありません。持久力を上げるために何も激しい運動をしなくてもよい訳です。理想は少ない練習で最大効果を得ること。そのためには科学的なデータに基づき運動を考えることが重要です。
先生からのメッセージ
私たちの教室では、科学的な視点でスポーツに関する研究を行っています。それは例えば、競技のパフォーマンスを上げるにはどうしたらよいのか、練習の効果を最大にするにはどこを鍛えればよいのかなど、多岐にわたります。スポーツ科学では、まだわからないことがたくさんあり、これからの分野です。
最近では、体を動かすことがケガや病気の治療にも効果があることが明らかになってきており、スポーツは医療の分野においても重要視されています。もしあなたが、このような分野に興味を持ったなら、ぜひ、スポーツ科学部に来てください。
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心不全も治る!? 医療でもスポーツの効果が見直されている
薬と安静では心不全は治らない
以前は、心筋梗塞で心不全になった場合、安静にすることが重要だと考えられていました。しかし最近では、体を動かす方が治療として効果があることがわかっています。心不全の原因は、心筋梗塞や老化などによる心筋の収縮機能の低下です。心不全になると血液の循環が悪くなり、体に十分な酸素が供給されなくなります。その結果、動悸(どうき)や息切れになりやすく、血液が滞留するため、血中の水分がにじみ出て「むくみ」が生じます。そのため薬を飲んで安静にしても、心臓の機能自体は回復せず、根本的な解決にはならないのです。
心筋を鍛える「運動」という治療法
心不全の治療に効果的なのは、ランニングやウォーキングなどの有酸素運動です。酸素を取り込んで全身の筋肉を鍛えれば、心不全は改善していきます。運動をした方が、病後の生存率が上がるのです。とはいえ、運動が強過ぎると逆効果です。効果が最も上がるのは、有酸素運動から無酸素運動が動員される程度の運動なのです。軽い運動は、酸素を取り込んで全身の筋肉を動かします。しかし強い運動では、酸素を使わずにエネルギーを供給する仕組みに体が切り替わります。その、ぎりぎりの運動が、安全でかつ最も効果的です。この基準は病状や個人個人によって異なるので、乳酸の上昇ポイントや呼気ガス分析機で最大酸素摂取量を計測する必要があります。
科学的に自分の体を知り、練習メニューを考える
この考え方は、持久力が求められるマラソンなどの競技でも生かすことができます。有酸素運動ができる限界点で長時間運動すれば、持久力が向上します。一方、無酸素運動は強い運動なので長時間続けることができませんが、筋力がつきます。いずれも重要であり、実際の練習はこの2つを組み合わせます。
激しく練習すればそれだけ効果があると考えがちですが、そんなことはありません。理想は少ない練習で最大の効果を上げることです。そのためには、科学的に自分の体を知り、科学的なデータに基づき練習メニューをつくることが重要なのです。
先生からのメッセージ
私たちの教室では、科学的な視点でスポーツに関する研究を行っています。それは例えば、競技のパフォーマンスを上げるにはどうしたらよいのか、練習の効果を最大にするにはどこを鍛えればよいのかなど、多岐にわたります。スポーツ科学では、まだわからないことがたくさんあり、これからの分野です。
最近では、体を動かすことがケガや病気の治療にも効果があることが明らかになってきており、スポーツは医療の分野においても重要視されています。もしあなたが、このような分野に興味を持ったなら、ぜひ、スポーツ科学部に来てください。
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