茨城大学 工学部機械システム工学科 教授 増澤 徹 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!医療を支える工学技術:医用メカトロニクス
メカトロニクス技術とは「機械を電子・情報技術で柔軟化・高度化する技術」です。研究・開発が進められている最新の手術機器や人工心臓を例にとり、医療分野で活躍する工学技術:医用メカトロニクスについて説明します。
「医用メカトロニクス」とは?
手術に役立つ技術の研究
人工心臓の開発
医療を支える工学技術:医用メカトロニクス
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう医学の進歩に欠かせない「医用工学技術」とは?
計測から治療へと発展する医用工学技術医学の進歩には、さまざまな工学技術が生かされてきました。例えば、心電図の原理は約120年前に開発され、長年医療現場で利用されています。さらにコンピュータの発達にともない、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(核磁気共鳴画像)など、医療用の計測機器が開発されてきました。 また、近年、治療機器もめざましい発展を遂げています。内視鏡手術を遠隔操作で行う手術支援ロボットもその一つです。こうした技術開発を支える学問分野が、医用工学、医用メカトロニクスと呼ばれるものです。機械と生体組織を接着する技術工学技術の医療への応用例として、生体組織を接着する技術があります。人工心臓などの機械を人体に埋め込む際に、人体の組織と金属を離れないように接続するのは難しいことです。一つの方法として生体組織を熱して接着する技術があります。料理で、熱した鉄板に肉が貼りついてしまうことがあるように、人間の組織に含まれるコラーゲンが熱によりゲル化し、冷えると固まる、という現象を応用したものです。高温で熱することで、その箇所の細胞はいったん死んでしまいますが、細胞が住んでいる組織構造(部屋のようなもの)はそのまま残ります。回復するとその部屋に再び細胞が入り込み、組織がよみがえります。この方法は組織同士の接着にも使え、針と糸でつなぐよりも、早く接着でき、回復も早いことがわかっています。医用工学技術の課題治療機器を開発するにあたっては、いくつかの課題があります。まず、人間の生命に関わる技術なので、安全性を担保しなければなりません。また、私たちの体は熱に弱いので、体内に埋め込む人工心臓のような機器の場合、熱を発生しにくい構造にする必要があります。機器が熱を発生することは、仕事に使われない無駄なエネルギーが熱となって漏れているということです。電気エネルギーを無駄なく運動エネルギーに変換する、熱が発生しない、効率の良いシステムを作ることも、医用工学技術の課題の一つです。先生からのメッセージ
- 増澤 徹 先生の他の夢ナビ講義
- 磁力で羽根車を血液中に浮かべて回す人工心臓の開発夢ナビ講義を見る