現実の『コード・ブルー』災害派遣医療は、現場にドクターヘリで駆けつけ、救急医療を行う医師たちを描くドラマでより広く知られるようになりました。国内で災害や事故が起こったら、直ちにドクターヘリやドクターカーが現地に駆けつけます。消防と一緒に現場で処置を行って、適切に病院に運びます。病院では高度な医療を迅速に行うために、医師、看護師などがチームで動きます。阪神・淡路大震災の重い教訓1995年の阪神・淡路大震災の死者・行方不明者は6400人以上を数えました。当時は初期医療対応が遅れ、もし平常時の医療体制だったら500人は救命ができたと言われています。この重い教訓を生かすために、2003年に災害時の幹となるセンターとして兵庫県災害医療センターが設立されました。2005年には厚生労働省により、発生から約48時間以内の急性期に対応できる医療チーム「DMAT(ディーマット=Disaster Medical Assistance Team)」が発足しました。その後DMATは、2011年の東日本大震災をはじめ多くの災害時に出動しています。進化する災害医療災害派遣医療チームは国内だけでなく、海外の大災害発生時にも結成され現地へ急行します。医療機器・器具類、薬品、備品、スタッフの生活用品など、膨大な準備品が常にメンテナンスされた状態で空港に保管されており、スタッフと共に飛び立ちます。災害医療の役割は、現地での医療行為だけでなく、患者を被災地以外の遠隔地の病院へ迅速に輸送することにまで及びます。輸送が困難な海外の地域では現地で手術まで行うこともあります。また、慢性疾患がある患者やリハビリテーション治療が必要な患者のケア、予想される災害への体制づくりなど、これまでの活動で得た新たな課題への対応も急務で、発生が予想される南海トラフ巨大地震に備えています。
大阪医科薬科大学
医学部 医学科
准教授 冨岡 正雄 先生