京都工芸繊維大学 工芸科学部デザイン科学域 デザイン・建築学課程 准教授 赤松 加寿江 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!建築と都市の歴史:デザインの鍵として
「京都らしさ」「渋谷らしさ」といった、ある都市固有の魅力・性格を作り出しているものは何か。イタリアを事例に、都市をかたちづくっている建築(ハード)と社会(ソフト)を歴史から読み解き、都市の本質を解剖する「都市史の仕事」を紹介します。
イタリアの震災と復興の象徴
世界遺産化による古墳の今と昔
時の流れに翻弄される円形闘技場
建築と都市の歴史:デザインの鍵として
先生からのメッセージ
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建物や都市の「DNA」を探るどんなものにも歴史や記憶があります。それは「建築」や「都市」でも同じことです。建築や都市の歴史を理解して個性を探り、今まで引き継がれてきた「個性」や「変わらない仕組み」、例えていうなら「DNA」を見出していくのが「建築史」の役割です。 建築史の中でもギリシア神殿や法隆寺のような、長い年月を経た特徴的な建築を読み解く研究は昔から行われてきました。その一方で、私たちが暮らす普通の家や都市の歴史はあまり研究されてきませんでした。しかし、都市の歴史は建築や人々の生活から切っても切り離すことができないもので、その重要性は著名な遺跡や文化財に劣らないのです。「地域らしさ」をまちのデザインに生かすこうした都市の歴史の重要性がわかってくるのにともなって、建築史の中でも「都市史」という分野が盛んになってきました。都市史では、例えば建物がどのように道や駅とつながっているのか、この道はいつからこんな形をしているのかといったことを文献やフィールドワークから読み解いて、その都市の「地域らしさ」を見つけ出します。そうして見出された「地域らしさ」は、将来のまちのデザインや設計、その土地のブランディング(ブランドとしての価値の構築)に生かしていきます。フィレンツェに残るコロッセオの痕跡都市の歴史が読み取れる例を紹介しましょう。イタリアのフィレンツェという都市の街並みを上空から見ると、一部だけ曲線で構成された箇所が見つかります。これは実は、ローマ帝国時代にコロッセオ(円形闘技場)があった跡なのです。コロッセオというと現在はローマに残る遺跡が有名ですが、ローマ帝国はこれ以外にも支配下にあった複数の地域にコロッセオを建設していて、フィレンツェのものもその一つでした。今は住宅や店舗になっていますが、痕跡は確実に残っています。このように、今のまちの姿からも過去の歴史がわかるのが都市史のおもしろさです。先生からのメッセージ
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