30分のミニ講義を聴講しよう! ロボティクス的視点でみた人や動物の歩き方
速く歩いたり走ったりするためには、足の振り幅を大きくする方法と、足を動かす回転数を上げる方法があります。一体、どちらがより良い方法なのでしょうか。このような運動に関する疑問について、ロボット工学や情報科学の手法を使った研究を紹介します。
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう 動物の歩き方から熟練の技まで~動作を効率化するメカニズム~

コンピュータを使って多足歩行ロボットのシミュレーションを行い、いろいろな歩き方について消費エネルギーを計算してみると、上述のような歩き方はエネルギー消費を抑える上で非常に理にかなった方法であることがわかります。動物は疲れにくい動き方を自然に選んでいるのです。 リハビリやロボット開発につながる研究 もっとも、よく調べてみると、コンピュータで計算される一番疲れない歩き方と実際の歩き方は少しだけ異なっていることもわかります。例えば、坂道を下るときに一番疲れない方法は、身体を丸めて転がることでしょう。しかし、このような動き方をすると大怪我をしてしまうかもしれません。人や動物は無意識のうちにできるだけ疲れないような歩き方を選びつつも、転びにくい歩き方になるように少し力を使っているのです。このような発見は、脳がどのように身体を操って動いているかということの理解だけでなく、リハビリテーション医療の研究や、歩行ロボットの開発にも役立ちます。
山口大学
理学部 物理・情報科学科 教授
西井 淳 先生