秋田県立大学 システム科学技術学部機械工学科 教授 富岡 隆弘 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!鉄道車両は機械工学の塊だ!
モータやエンジンの回転を車輪に伝えて走り、摩擦によるブレーキで止まり、ばねで支えられた車体に乗客や貨物を載せて安全・快適に運ぶ鉄道車両は機械工学技術の塊です。知っているようで意外と知らない鉄道車両について、機械工学の視点から解説します。
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鉄道車両は機械工学の塊だ!
先生からのメッセージ
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鉄道車両がカーブを曲がるのはなぜ?鉄道車両は身近な「機械」ですが、その仕組みについては意外と知らない人が多いようです。例えば、鉄道車両には自動車のように車輪の向きを変えるハンドルがありませんが、なぜカーブを通過できるのでしょう? 実は鉄道車両の車輪は、紙コップのような円錐形を輪切りにした形になっていて、外側の半径が小さくなっています。また、左右の車輪は1本の車軸でつながっており一体で回転します。この左右車輪と車軸のセットを輪軸と呼びますが、輪軸がカーブにさしかかると外側のレールを走る車輪は、内側の車輪より半径の大きいところでレールと接触します。このとき左右の車輪は一体で回っているため、外側車輪のほうが速く進み、輪軸は曲線に沿って自然に向きを変え、スムーズにカーブを走行することができます。もし車輪が円筒形なら脱線してしまいます。鉄道の車輪は効率がいい鉄道では車輪もレールも鉄でできています。この組み合わせにより、ゴムタイヤのような変形しやすい車輪に比べ少ないエネルギーで重いものを運べます。新幹線で1つの車軸にかかる重さは12トン程度で、1車両では50トン近くの重さがレールにかかることになりますが、そのような大きな重量のものを高速で遠くまで運ぶことはゴムタイヤでは困難です。 ただ、鉄どうしの接触はスリップしやすいという欠点もあります。そのため、自動車に比べると加速や減速は緩やかにしなければなりません。騒音や振動を制御する騒音や振動は鉄道にとっては大きな問題です。新幹線は、1つの車両の全長が約25メートルで、車体を2つの台車で支えて走っています。細長いものを長い間隔で支える構造なので、実は車体はたわんだりねじれたりしながら走っています。変形しながら揺れることを弾性振動といい、これが不快な振動や騒音の原因となります。弾性振動は車体の材料と構造によっても変わるため、それらをうまく選んで設計したり、台車との組み合わせや内装材などの特性も利用したりしながら、振動と騒音の問題を解決しているのです。先生からのメッセージ
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