駿河台大学 メディア情報学部 メディア情報学科 教授 大久保 博樹 先生

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本物よりもリアルな映画やラジオの音の正体
映画やラジオから流れてくる音はどのような働きをしているのでしょうか? 音があることは当たり前という意識の裏には、リアルな音とそうでない音を嗅ぎ分ける部分があります。では、リアルな音とはどのような音でしょうか?
先生からのメッセージ
映画監督になりたくて、中学時代からシネカメラを振り回し、映画を年間100本観て学生時代を過ごしました。その頃、映像作品を10本は作りましたが、どうしてもしっくりこないことが1つありました。それが音です。きれいかどうかは関係なく、合わない音は合わないのです。紆余曲折を経て、今は映画の音響の働きや効果を研究しています。
大切なことは、感じた疑問を無視しないことなのかもしれません。それが自分を夢中にさせ成長させてくれるのでしょう。大学は、抱えた疑問から視野を広げ、掘り下げていく学びの場であると思います。
先生がめざすSDGs
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映像の中の「音」に注目! ~効果音・環境音と表現の世界~
映像の中の音の要素
映画やテレビなどの映像の中の音は、作品の世界観を支える大切な要素です。例えば、映画『スター・ウォーズ』にライトセーバーという光の剣が出てきますが、これが現れるときの独特の音は、「作られた音」です。ライトセーバーは架空の武器ですから、これにどんな効果音をつけるかは、観客が作品世界をイメージする際に大きな役割を果たします。このように、SFやアニメの音作りは実写の作品以上に想像と工夫が求められます。
実は「生活音」も作られることが多いのです。例えば、「ドアを開ける音」は、映像と同時に録音されたものとは限りません。別のドアを開ける音を組み合わせたり、全く違う音を使用したりすることさえあるのです。
音で感情をコントロール
雨の音、波の音、風の音などの「環境音」についても同様です。実際の雨の音を集音マイクで収集して再生しても、私たちが作品の中で抱くイメージの雨の音とは程遠いことが少なくないからです。
つまり、より効果的な音を作り、映像と組み合わせて音に「お芝居」をさせ、それによって観客の感情をコントロールすることが、映像の中の音の役割と言えるでしょう。そのために、映像の中の音の多くは、周到に作られることが多いのです。ハリウッド映画などは、1カット(4~5秒)にDAW上で50種類以上ものサウンドトラックを使用することもあるほどです。
伝統の継承と発展を
こうした重要な役割を持つ音を生み出すためには、高い技術と豊かな経験が必要です。現在では、コンピュータで音を合成する方法もあり、研究されています。一方で日本には、歌舞伎などの伝統芸能を起源とする「音の文化」もあります。「ザザーッ」という波の音を、大量の小豆(あずき)を波ざるの中で動かして表現する手法もその1つです。こうした昔ながらの技に対する評価は今も高く、音によってはコンピュータでもかないません。
伝統を生かしながら、デジタル技術をも駆使して、映像による音の世界をさらに豊かにするために、音に関する幅広い研究が求められているのです。
先生からのメッセージ
映画監督になりたくて、中学時代からシネカメラを振り回し、映画を年間100本観て学生時代を過ごしました。その頃、映像作品を10本は作りましたが、どうしてもしっくりこないことが1つありました。それが音です。きれいかどうかは関係なく、合わない音は合わないのです。紆余曲折を経て、今は映画の音響の働きや効果を研究しています。
大切なことは、感じた疑問を無視しないことなのかもしれません。それが自分を夢中にさせ成長させてくれるのでしょう。大学は、抱えた疑問から視野を広げ、掘り下げていく学びの場であると思います。
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