30分のミニ講義を聴講しよう! 運動の局面構造に着目したスポーツ指導法
スポーツ運動をとらえようとしたときに、その局面構造を明確にすることにより指導法の観点を整理することができます。そこから用具や場の工夫、スモールステップ指導の運動課題の工夫などを明確にすることで、運動者の習得を容易にする手立てが見えてきます。
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう 誰でも跳び箱が跳べるようになる、子どもの運動感覚を育てる指導法

ところが近年は、運動をともなう遊びが少なくなっており、子どもたちの運動能力の低下が心配されています。そこで文部科学省は、平成24年の「幼児期運動指針」で、幼児期に獲得すべき基本的な動きや運動習慣を示しました。こうした指針が必要なほど、遊びが減っているのです。それゆえ、遊びの中で運動能力の向上を図る方法が模索されています。 苦手意識を持たないように 例えば、「跳び箱」や「縄跳び」は、すぐにできるようになる子もいれば、そうでない子もいます。できない子に対して、無理に「練習」させたりすると、その子は運動に対して苦手意識を持ち、運動嫌いになりかねません。幼児期・児童期には、あくまで遊びの中で、どのように能力をつけていくか、という視点が大切なのです。そこで登場する方法の1つが、「スモールステップ指導法」です。 運動の構造を分析する 「スモールステップ指導法」を「跳び箱」の場合で考えてみましょう。まず「跳び箱を跳ぶ」という運動が、どういう構造なのかを、順を追って整理します。すると、助走→踏み切り→腕支持(両手を跳び箱の背について体を支える)→腕で跳び箱の背を押し突き放す→跳び越す、という動きが、前方へ進みながら行われていることがわかります。そこで、1つひとつの動作を、遊びの中に取り入れ、子どもが積極的にその動作を行うように工夫します。それを繰り返すことで、自然に必要な運動感覚を高めることにつながり、跳び箱を跳べるようになるのです。
跳び箱が跳べると、達成感が生まれ、自己肯定感が高まります。幼児期・児童期の運動能力の向上は、その後の人生に計り知れない大きな役割を果たすことにつながるのです。
聖徳大学
児童学部 児童学科
教授 百瀬 定雄 先生