九州大学 芸術工学部芸術工学科 未来構想デザインコース 教授 中村 美亜 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!人はわかりあえるか~音楽することの可能性
近年、異なる背景をもつ人々が、芸術活動を通じて「共創」に携わる機会が増えています。講義ライブでは、音楽が人に力を与え、関係性に変化を及ぼす仕組みについて考えながら、多様な人々が共存可能な社会をデザインする方法を探ります。
「わかりあう」とはどういうこと?
共創より生じる「エンパワメント」
共創の場を支える芸術社会学
人はわかりあえるか~音楽することの可能性
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう音楽を共同創作することで、異なる人々をつなぐ新しいアートの形
他者理解の問題点自分とは異なる他者を理解することは大切です。世の中には、民族、宗教、年齢、性別、セクシュアリティ、障がい・健常、災害の被災者・被害に合わなかった人など、さまざまな差異が存在します。共同体の結束が強い時代には、これらの違いを敵視し排除することはあたり前でしたが、世界がグローバル化し多様な人たちが共存しなくてはならない現代では、互いを認め合うことが重要になっています。ところが、いくら言葉でコミュニケーションを重ねても、違いばかりが際立つという現実があります。分断された個をつなぐ表現活動このままでは、人々は分断され孤立してしまうでしょう。新たな対立関係が生まれるかもしれません。このような事態を避けるには、異なる人同士が共感し合える「表現の場」をつくる必要があります。それを担うのが、音楽などの芸術活動です。例えば、東日本大震災の後に、被災者を支援するさまざまな音楽活動がありました。その中には、被災者と支援者が共感し合える表現を生み出すことで、被災者の気持ちを慰めたり、勇気づけたりするものがあった一方で、被災者の心を逆撫でするような活動も存在しました。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。共感し合える「表現の場」をつくり出すために必要なことは何なのでしょうか。表現の場づくりを支えるデザインここでは災害の例をあげましたが、さまざまなマイノリティとマジョリティの関係性にあてはまります。これまで音楽は、単に作曲家が曲をつくり、演奏家が演奏するものと考えられてきましたが、音楽が人に力を与えるためには、きめ細かな事前調査や表現の場づくりが重要であることがわかってきました。こうした「表現の場」をつくりだすのが、アートマネジメントや文化政策の役割です。人々が多様であることは揺るぎない事実です。特定の人だけに向けた表現ではなく、多様な人たちの間にゆるやかなつながりを持たせることができる「表現の場づくり」のデザインやそのための研究が求められています。先生からのメッセージ
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