奈良学園大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 教授 辻下 守弘 先生

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つらいリハビリテーションを変える新しい技術
リハビリテーションとは、事故や病気などにより障がいを負った人が社会復帰をめざすための医療活動です。具体的にはセラピストと患者が1対1で筋力を鍛えたり、関節を動かしたりするための訓練を行います。負担のかかる訓練を地道に行う必要があるため、患者さんが「つらい」と感じてしまいがちなものでもあります。こうしたリハビリの現状を大きく変える可能性を持っているのが「バーチャル・リハビリテーション」という新しい技術です。バーチャル・リハビリテーションではVR(バーチャルリアリティ)をつくり出し、患者さんの体の動きをセンサーでとらえます。これによって患者さんは画面の中に入り込んだような感覚で訓練を行うことができるのです。
運動や散歩を楽しみながら訓練できる
バーチャル・リハビリテーションにはさまざまなメリットがあります。その1つ目はつらいリハビリが楽しいものに変わることです。例えばバレーボールをしながら手を鍛えるバーチャル・リハビリテーションの場合、実際に試合をしているような感覚を楽しみながら訓練を行えます。また、訓練室という閉鎖的な空間に広がりが生まれるというメリットもあります。例えば患者さんの家の周辺を撮影し、それをVRに落とし込めば、景色を眺めながら散歩をした気分になれますし、同時に段差や溝など注意すべき箇所をリアルに体験することも可能になります。
日本での技術の導入も間近
ほかにもセラピストと直に接することなく遠隔でリハビリができるなど、多様な患者さんのニーズを満たせる技術と言えるでしょう。日本ではまだ調整段階にありますが、先端医療機器の導入が盛んなイスラエルや西欧諸国ではすでに広がりを見せています。日本でもVR技術を取り入れている歯科や外科に続き、リハビリテーションへの導入も5~10年程度で進むことが予想されます。あなたがけがをしたり歳をとったりしたとき、この技術に助けられるかもしれません。
30分のミニ講義を聴講しよう! バーチャル・リハビリテーションの世界
VRとして知られているバーチャル・リアリティの技術は、リハビリテーション医療にも積極的に導入され、国際的にはバーチャル・リハビリテーション(VRリハ)と呼ばれています。VRリハとはどういうものかについて、実際の場面を紹介しながら説明します。
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう リハビリの常識を変える「バーチャル・リハビリテーション」って?

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保健医療学部 リハビリテーション学科
教授 辻下 守弘 先生