佐賀大学 大学院 理工学研究科 教授 和久屋 寛 先生

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いろいろな分野と繋がっている人工知能研究
近年、話題に事欠かない人工知能(AI)ですが、脳の働きを理解することも重要です。私たちの身体は微弱な電気で動いていますが、それは化学反応で生まれ、物理現象に基づき数式で記述されます。実はいろいろな分野と繋がっている人工知能を講義します。
先生からのメッセージ
「大学は理系学部を志望しているから、文系科目の勉強はそれほど重要じゃない」なんて考えていませんか? 高校在学中の試験だけなら、それでも通用するかもしれませんが、大学で専門分野の勉強を本格的に始めると、後悔することになります。
どんな分野であれ、最先端の研究を突き詰めていくと、学問分野の「垣根」はなくなります。「理系・文系なんて分ける意味はないんだ」という気持ちを高校生のうちから持っておくと、大学入学後の学びが、より充実したものになるはずです。
先生がめざすSDGs
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人間の脳と同じように、学び・考え・判断する「人工頭脳」の研究
初期のAIは、融通がきかない「石頭」だった?
授業中、なんだか熱っぽい感じがして保健室に行ったとします。体温を計ると36.9度もあるのに、「ベッドで休んでよいのは37.0度以上」というルールのため、教室に戻るよう指示されたとしたら、納得できますか? 初期のAI(人工知能)は、まさにこの例のように、イエスかノーかの判断が中心でした。
AIを、人々の社会生活をサポートするシステムに進化させるためには、より人間に近い判断能力を持たせなければなりません。そこで、人間の脳の働きをコンピュータ上で模した、「ニューラルネットワーク」の研究が始まりました。
人工知能というより、むしろ「人工頭脳」
人間の脳は、膨大な数のニューロン(神経細胞)が電気信号を伝達し合って、さまざまな情報を処理しています。この働きをコンピュータ上で数理モデル化し、複数の層で情報処理を進める仕組みがニューラルネットワーク(神経回路網)です。
私たちが何らかの技術を習得する際、失敗や成功を繰り返しながら「失敗しないやり方」を覚えるのと同様、ニューラルネットワークも、大量の情報を入力し、情報に含まれる法則性などを自ら発見させる、「ディープラーニング」という手法で判断能力を高めていきます。「人工知能」というよりも、むしろ「人工頭脳」と呼ぶべきシステムと言えるでしょう。
高度な研究には異なる学問分野の知見も重要
微分や積分の公式は、数学の授業で学びます。しかし、物理における位置と速度と加速度の関係を理解するには微積分の知識が必要です。また、水面に垂らした1滴のインクが、どのように広がっていくかも微分を含んだ方程式で記述されるため、数学の知識は重要です。
ニューラルネットワークの研究も、ある流派は、神経科学など医学分野の知見を学ぶところからスタートしました。今後、AIの研究が進むにつれ、さらに多くの学問分野の知識が活用されるようになるでしょう。AIを人間の頭脳に近づけるには、異なる学問分野の知識を横断的に活用する必要があるのです。
先生からのメッセージ
「大学は理系学部を志望しているから、文系科目の勉強はそれほど重要じゃない」なんて考えていませんか? 高校在学中の試験だけなら、それでも通用するかもしれませんが、大学で専門分野の勉強を本格的に始めると、後悔することになります。
どんな分野であれ、最先端の研究を突き詰めていくと、学問分野の「垣根」はなくなります。「理系・文系なんて分ける意味はないんだ」という気持ちを高校生のうちから持っておくと、大学入学後の学びが、より充実したものになるはずです。
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