東北学院大学 法学部 法律学科 准教授 玉井 裕貴 先生

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明るい破産!? ~個人の借金と破産手続~
破産という言葉からは、借金や自殺など、暗いことばかりがイメージされます。しかし、法律のメガネを通してみると、破産はむしろ、借金苦に陥った人の新たな人生のために、明るい光をあてる法制度とみることができます。そんな破産制度について紹介します。
先生からのメッセージ
法学は難しいというイメージがあるかもしれませんが、あなたが暮らす社会に深く関わります。いろいろな人間がいるなかで利害関係をどう調整し、紛争を解決していくかを学ぶのは、リアルで興味深いものです。こわがらずに法学を学びに来てください。
また、大学での学びを充実させる上で、社会への関心を持ち続けることは重要です。スマホからの情報だけで満足しないで、まずは普段の行動範囲の外に出て、人と会ったり、知らない場所を訪ねたり、いろいろなことをやってみましょう。広い世界を知り、興味の幅を広げていってください。
先生がめざすSDGs
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「借りた金は返す」は常識ではない!?
「自己破産」て、どういうこと?
「借りた金は返す」。これが世の中の常識です。しかし、破産に追い込まれてしまった人には、これは当てはまりません。「破産者」というと、ギャンブルに溺れる人などをイメージするかもしれませんが、昨今の社会状況では、まじめに普通の暮らしをしていた人でも破産に追い込まれることがあります。例えば、子どもが生まれたり、家を買ったりした矢先に勤務先が倒産し、お金を返したくても返せない、あるいは自然災害で家も仕事もなくしたのに家のローンだけが残る、といったことは、誰にでも起こりうるのです。ドラマなどでは、借金→借金取りに追われる→夜逃げや自殺、というパターンがしばしば描かれますが、個人の場合、自己破産することは、「財産を清算し、それでも払えない分は、免責手続によって“なし”にする。これにより新たな生活をスタートさせる」ことが目的なのです。
新たなスタートのためのセーフティネット
現在、日本の自殺の原因の第3位が「経済・生活問題」ですが、お金が原因で死んではいけません。自己破産というとイメージは悪いかもしれませんが、見方を変えれば新たなスタートを切るためのセーフティネットなのです。破産手続を利用しても、身ぐるみ剥がされてしまうわけではありませんし、破産する前に培った一定の財産や、破産手続が始まったあとで得られた財産も、破産してしまった人が新たな生活を始める基礎にすることができます。もっとも、一定期間クレジットカードが作れない、金融機関からお金を借りることが難しくなるといった不利益はありますが、やり直すことはできるのです。
あなたにとっても実は身近な法律
法律は、あなたが生きている社会のために存在する、リアルで身近なものです。倒産という局面では、破産法や民事再生法などが関係しますが、倒産に至らなくても、人間が生活する以上、お金・財産をめぐるトラブルは避けられません。さまざまな人間が暮らす社会で、利害関係をできる限り公正・公平に調整し、解決していくのが法律なのです。
先生からのメッセージ
法学は難しいというイメージがあるかもしれませんが、あなたが暮らす社会に深く関わります。いろいろな人間がいるなかで利害関係をどう調整し、紛争を解決していくかを学ぶのは、リアルで興味深いものです。こわがらずに法学を学びに来てください。
また、大学での学びを充実させる上で、社会への関心を持ち続けることは重要です。スマホからの情報だけで満足しないで、まずは普段の行動範囲の外に出て、人と会ったり、知らない場所を訪ねたり、いろいろなことをやってみましょう。広い世界を知り、興味の幅を広げていってください。
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