徳島大学 理工学部 理工学科 機械科学コース 教授 長谷崎 和洋 先生

30分のミニ講義を聴講しよう! 「宇宙太陽光発電」は、究極のエネルギー源
宇宙開発は、私たちの生活に大きな恩恵をもたらしてきました。GPS、気象・通信衛星などは生活を便利にし、今やなくてはならないものになっています。講義ライブでは、次に大きな期待を集めている「宇宙太陽光発電システム(SSPS)」を紹介します。
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう 宇宙太陽光発電は、究極の持続可能なエネルギー源

また、宇宙太陽光発電のメリットは効率のよさです。地上では夜はもちろん、雨や曇りの日は発電できませんが、宇宙では光を妨げるものもなく、静止軌道上にはいつも太陽光が照りつけ24時間発電可能です。また太陽光は大気を通って地上に届くのでかなり減衰します。しかし宇宙には大気がないので、太陽からのエネルギーが強い状態で利用できます。集められたエネルギーは、地上へレーザー光を使って送信します。マイクロ波を使う方法も検討されていますが、地上の受信装置が巨大になるので、小型の滑走路ぐらいの大きさで受信できるレーザー光の方が現実的です。 たくさんの課題の克服をめざして 究極の持続可能なエネルギー源として注目を集める宇宙太陽光発電ですが、実現までには多くの課題があります。まず費用の削減です。試算では、日本の年間の国家予算を上回るといわれています。反射鏡や集光板などを宇宙へ運ぶロケットの打ち上げ費用が、現在の10分の1以下にならないと実現できません。また太陽光を集めるので温度が300~400℃の高温になります。この熱をどうやって逃がすのかが問題です。いろいろな冷却装置が考えられていますが、技術開発によって小型軽量化しないと実現性は低くなります。
2030年の実現をめざして研究が続いています。これらの課題を解決できれば、将来は宇宙からのエネルギーを使った生活ができるかもしれません。
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理工学部 理工学科 機械科学コース
教授 長谷崎 和洋 先生