DDHって何?乳幼児に起こりやすい病気の一つに、股関節が脱臼する「先天性股関節脱臼」があります。おむつの当て方や抱っこの仕方など、生後の生活習慣も発症の要因となるため病名が見直され、今では「発育性股関節形成不全(Devepolmental Dysplasia of the Hip joint:DDH)」と呼ばれるようになっています。DDHの治療法にはさまざまなものがありますが、1歳未満の場合は、装具や足を引っ張る牽引(けんいん)療法で治ることが多いです。しかし1歳を過ぎてからの治療では手術となるケースも多く、子どもの体への負担が大きくなります。DDHの早期発見がカギDDHの治療では、早期発見が何よりも重要です。近年1歳以降=歩行開始以降に発見されるDDHの数が多くなっていることが明らかとなりました。そのため赤ちゃんが受ける健診では、股関節の開き具合などいくつかのチェック項目を設け、一定数以上異常な項目があれば精査が必要と判断するようになってきました。ただ診断のためにどんな画像検査を行うのかが重要です。小児整形外科の現場でDDHを発見・診断する検査として、「超音波検査」が注目されています。これまで行われてきたエックス線検査は、骨しか描出できないため、軟骨成分が多い乳幼児の股関節では情報が乏しく診断が難しいという欠点がありました。超音波検査では、軟骨部分も明瞭に描出できるため、正確なDDH診断が可能となり、見逃しを減らすことが可能です。運動器診察への応用が進む「超音波検査」近年の超音波検査機器の発展は目を見張るものがあります。コードレスタイプや持ち運びのできるコンパクトな機器も開発されており、スポーツ分野では超音波検査機器をグラウンドに持ち込んで、野球肩・肘などの検診を行う試みが既になされています。
今後の超音波検査機器の機能向上にともないDDHだけでなく、超音波検査はさまざまな運動器疾患への応用が期待されています。
大阪医科薬科大学
医学部 医学科 整形外科学教室
講師 藤原 憲太 先生