大阪教育大学 教育学部 教育協働学科 理数情報部門 教授 広谷 博史 先生

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水の微生物に環境のことを聞いてみる
人間や動物の体内に存在している「大腸菌」を知っていますか。河川や湖沼の大腸菌の数を調べると、どれだけ水が人間や動物の影響で汚れているかわかります。また、大腸菌に感染するウイルスの種類で、人間と動物、どちらに汚されているかがわかります。
先生からのメッセージ
環境中の水と微生物の研究をしています。あなたは高校で、物理、化学、生物、地学を学んでいて、それらが将来どのように役立っていくのか疑問に思っているかもしれません。
私が現在行っている研究では、水の動きを調べるには物理、水質は化学、水中の微生物は生物の知識が必要であり、川や湖は地学そのものです。つまり、高校での理科をすべて統合したような学問といえます。理科が好きで、統合的に勉強したいなら、環境の分野をめざしてください。
先生がめざすSDGs
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水中の微生物が教えてくれる、環境のこと
水質を科学的に評価する
私たちが水を飲んだり、河川で泳いだりするためには、その水が汚染されていないかを調べる必要があります。その水質を科学的に評価する指標のひとつが「大腸菌」です。大腸菌はもともと、あなたやウシなどのお腹の中に生息している細菌です。細菌の多くは人体に無害ですが、中にはコレラ菌や赤痢菌のように、健康被害を招く種類があります。そのため、水浴場で大腸菌のような細菌がたくさん検出された場合は遊泳禁止、水道水で見つかったら断水となります。近年は上下水道の整備が進み、塩素消毒などによって有害な細菌を制御できるようになり、コレラや赤痢のような病気も少なくなっています。
ウイルスという新たな指標
最近、ノロウイルスやロタウイルスといったウイルスによる健康被害が頻発しています。よって、水質を評価するには、大腸菌という細菌だけでなく、ウイルスという新たな指標が必要と考えられます。ウイルスは細菌とは違う性質を持っており、細菌を検出・制御する方法がウイルスには通用しない場合があるからです。
ウイルスには細菌に感染し、その細胞内で増殖し、細胞を破壊する「バクテリオファージ(細菌ウイルス)」と呼ばれるものがあります。そのバクテリオファージを用いて、水の中のウイルスの存在やふるまいを簡単に調べることができるのです。
より安全な水の環境のために
水から検出されたウイルスの遺伝子の違いを調べることで、汚染の原因がヒトからか、家畜からかを特定することもできます。ウイルスの発生源が特定できれば、その原因に応じた対策を講じて、水質汚染を制御することができます。そして、ウイルスによる健康被害のリスクを軽減することにもつながります。
水の中の細菌やウイルスといった微生物は、ヒトや動物が及ぼす環境への影響をはじめ、水の環境を保全・改善するための方法を教えてくれる存在でもあるのです。
先生からのメッセージ
環境中の水と微生物の研究をしています。あなたは高校で、物理、化学、生物、地学を学んでいて、それらが将来どのように役立っていくのか疑問に思っているかもしれません。
私が現在行っている研究では、水の動きを調べるには物理、水質は化学、水中の微生物は生物の知識が必要であり、川や湖は地学そのものです。つまり、高校での理科をすべて統合したような学問といえます。理科が好きで、統合的に勉強したいなら、環境の分野をめざしてください。
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