島根大学 総合理工学部機械・電気電子工学科 助教 伊藤 史人 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!重度障がい者の「生きたい」につながる研究
身体をほとんど動かせず、話すことも書くこともできない場合、どうやって気持ちを伝えますか? ALS(筋萎縮性側索硬化症)、交通事故などで重度障がい者になる人がいます。最近は、支援機器の進化によって、彼らの「生きたい」が叶うようになりました。
視線入力装置の有用性
ALSの進行が止まった実例
重度障がい者の「生きたい」につながる研究
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう障がい者を支援するテクノロジー、「視線入力」技術
生活を劇的に変えるテクノロジーテクノロジーは、現代社会に暮らす私たちにとって、欠かせないものです。新しいテクノロジーの登場は、多くの人の生活を劇的に変えることがあります。 例えば、重い障がいのため体が動かない人、筋肉を動かす機能が失われるALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの生活支援に役立つ、「視線入力」があります。これは画面に表示している文字を見ると、文字が入力できるという技術です。眼球の動きを視線入力装置で受信し、文字を入力します。この技術を使うと、目の動きだけで周囲の人とコミュニケーションを取ることができますし、メールを書いたり、オンラインショップで買い物したりできます。ALSの患者さんの機能の中でも、目の動きは比較的長く残るので、それを活用することは重要です。ゲームを使って、楽しく訓練便利な視線入力ですが、患者さんが使いこなすようになるには、ある程度の訓練が必要です。そこで、注目されているのが、ゲームソフトを使った訓練です。単に文字を見ていく訓練だと、うまくいかなかった時に、本人も周りの人も落胆しがちですが、ゲームの場合だと「あ、惜しい。次にがんばろう」というように、なごやかな雰囲気で訓練できます。つらい闘病生活を送る患者さんにとっては、楽しく訓練できることはとても大切なことなのです。障がい者支援の新しい技術視線入力以外にも、顔の表面の変化をセンサーで読み取り、スイッチを押すことができる技術なども開発されています。ALS の患者で物理学者のホーキング博士は、スイッチを押す意思伝達装置を使い、講演、論文執筆など知的活動を行っていたことはよく知られています。 新しい技術として、脳波を使ったコミュニケーションなどの可能性が研究されています。日本では、まだ、このような技術開発があまり知られていませんし、支援できる人も少ないですが、医療現場と協力しながら、工学的なアプローチを進めていくことが期待されているのです。先生からのメッセージ
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