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30分のミニ講義を聴講しよう! ウゴク日本語・ウカブ英語

人それぞれに癖があるように、日本語や英語といった言語にも文法的な癖があります。普段は意識されませんが、ある場面を日本語と英語とで記述する際にそれぞれの癖が姿を現します。「変化」を表す表現を中心に日本語と英語の癖について考えてみましょう。

受講した高校生のコメント

先生からのメッセージ

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私の専門は、「言語学」「英語学」です。
大学でこの分野の勉強や研究を楽しむためには、あなたが現在、高校で勉強している英語の知識が、重要な前提となります。そのため、今は高校での学びを大切にして、毎日の生活を送ってください。そして大学では我々教員たちと一緒に、知的に遊び、そして学問しましょう。

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瓶が洞窟の中へ浮かんだ――の意味は? 海面に浮かんだ瓶が洞窟へ流れていく情景を想像してください。この情景を日本語話者は「瓶が浮かびながら洞窟に入っていった」と表現します。ところが、英語話者の多くは「The bottle floated into the cave.」(瓶が洞窟の中へ浮かんだ)と表現します。これは日本語話者の感覚ではおかしな表現ですが、日本語では不可能な表現が英語では可能になるのです。
日本語では移動を表す文には当然、移動を表す動詞(この場合は「入る+いく」)を使います。しかし英語では、goやmoveという移動を表す動詞は使われていません。移動を表すのはintoという前置詞だけで、動詞はfloatedという瓶の様子(様態)を表す言葉で表現されます。
馬が丸太をすべすべに引きずった――の意味は? 「移動」とは位置が変化することですが、今度は「状態の変化」を考えてみましょう。この場合にも、日本語と英語それぞれの「癖」のようなものが見えてきます。
例えば、「馬が丸太を引きずって、丸太がすべすべになった」という丸太の状態の変化を表現するとき、日本語では2つの文に分ける必要があります。しかし英語では「The horses dragged the logs smooth.」(馬が丸太をすべすべに引きずった」と表現できます。この場合のsmoothには、「すべすべになった」という状態の変化の意味が含まれています。英語は動詞以外の言葉でも変化を表すことができる言語なのです。
言語の「癖」を知って、外国語の学習を 2つの例で見てきたように、同じものや同じ情景を見ても、言語によって表現の仕方が違います。私たち日本語話者が話す英語について、「間違ってはいないけど、どこか不自然だ……」と英語話者に思われてしまうのは、こういった言葉の「組み立て方の違い」が関係しているのです。外国語を学習するときは、その言語の文法的な「癖」を知り、その癖が自らの母語とどう違うのかを知る必要があるといえます。

先生からのメッセージ

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私の専門は、「言語学」「英語学」です。
大学でこの分野の勉強や研究を楽しむためには、あなたが現在、高校で勉強している英語の知識が、重要な前提となります。そのため、今は高校での学びを大切にして、毎日の生活を送ってください。そして大学では我々教員たちと一緒に、知的に遊び、そして学問しましょう。

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奈良女子大学
文学部 言語文化学科
准教授 今野 弘章 先生